「IT開発領域で異能が活躍するための仕組みづくり」発達障害の強みを活かす先進企業3分で読めるKaien特別セミナー

内容充実のKaienウェビナーを3分で読もう!今回は2020年11月に開催したKaien特別セミナー「IT開発領域で異能が活躍するための仕組みづくり」を取り上げます。

デジタルハーツプラス様とKaienは2020年8月、立川にサテライトオフィスを立ち上げました。親会社・デジタルハーツの本業であるゲームのデバッグおよびそれに近い業務で活躍する障害者雇用を中心に「発達障害*・異才を活かす開発ユニット」として、コラボで動いています。今回はそのデジタルハーツプラス代表取締役の畑田康二郎氏においでいただき、異能が活躍するための仕組みづくりについてお話をうかがいました。

動画はこちらから(ハイライトフルバージョン)。

今回のゲスト

株式会社デジタルハーツプラス 代表取締役 畑田康二郎(はただ・こうじろう)氏

2004年に経済産業省に入省。エネルギー政策、ベンチャー支援政策、内閣府宇宙戦略室などを歴任。2018年に経済産業省を退職し、株式会社デジタルハーツホールディングスに入社。2019年10月にデジタルハーツプラスを設立し、代表取締役に就任。

発達障害・異才を活かす開発ユニットを立川に設立

ゲームを通じて異才を発揮できる場所に

鈴木:これまでの経緯と今後の展開を教えてください。

畑田:親会社のデジタルハーツでは8000名以上の登録テスターが在籍しており、毎日4000人近いメンバーがゲームのデバッグの仕事をしています。また、米マカフィーの調査では、世界中のセキュリティ専門家の92%がゲーマー・サイバーセキュリティに必要なスキルを備えているということから、デジタルハーツで働いているゲーマー、ゲームテスターの人たちに、正義のハッカーにならないかと声をかけています。

コミュニケーションが苦手でも与えられた仕事・ルールをしっかり守れる人はセキュリティの監視業務などの地道な仕事、多動症傾向があって(バグを)ひらめきで見つけるのは得意でもルールを守るのが苦手なタイプは脆弱性を発見し分析する仕事に向いているなど、個々の適性に応じたサイバーセキュリティの仕事は確実にあります

引きこもり支援機関やサポステ、障害者の就労移行支援事業所に元引きこもりのハッカー君を連れて行って話をすると、いつも20~30人集まってきてくれて、その中から相当ゲームをやりこみまくっているような人材がうちの会社に入りたいって言ってきてくれる。中には障害者手帳を持ってます、うつと診断されて薬を飲んでますという方もいて、一般社会の中ですごく苦労されている方もいらっしゃいます。少なくともこのサイバーセキュリティの仕事というミッションを与えられた中では、たくさんの人材がそんな自分と社会とのギャップに苦しむことなく好きなことで活躍していると実感しています。

これまでデジタルハーツ全体で、健常者も障害者も一緒にインクルーシブに働いているのが一つの理想形ではあったのですが、ここは逆に障害者の強みに特化したプラットフォームを作りましょうと私から提案して2019年10月にデジタルハーツプラスという特例子会社を設立しました。いろんな人のそれぞれの個性、強みを生かせる、障害者のできないことではなく、できることに注目して成長する集団を創っていこう、という理念でいま活動しています。

異能のプラットフォームとは

畑田:私も彼らの強みにばかり目がいって、無理をさせてしまいがちになると思っていて、私の前では「できます!」と言っても、Kaienさんとの個別面談では「実はきついんですよね…」といった愚痴をこぼしたりすることもあると思っております。そこで夜眠れていますか?とか、障害特性に対するリカバリープランはどうなっていますか?などメンタル面でのケアをしてもらい、業務側の設計をちゃんとやり直さないと解決できないのであれば、親会社側とミーティングをして、業務フローを見直すといった改善をしながら、どんどん業務が洗練されている状況です。

我々は障害のある方でも技術力アップの機会を沢山与えて、自らの強みをどんどんフォーカスして活躍できる場所を作る。でも、そこの一本足打法だけだと大変危ういプラットフォームになってしまうので、メンタルのサポートに関しては、Kaienさんのような専門知識のある方に入っていただき、この二本足でしっかりと土台を支える。そうすることでチームの力が発揮でき、安定して長期にパフォーマンスを発揮できると考えております。

長く働いていく上で大事なこと

鈴木:なるべく長く戦力として活躍してもらうのが障害者雇用では肝になると思うのですが、他にもこうしたらより長く働いてくれるんじゃないかというのは何かありますか?

畑田:まずは自己理解。障害特性上、どういう時に落ち込むのか、夜眠れなくなるという人もいれば、季節の変わり目はどうしても苦手とか、そこをまずご自身がしっかり把握をされて、それを会社側でも共有することだと思います。

例えば、朝が苦手でどうしても5分ぐらい遅刻してしまう、そこの計画が苦手な方がいらっしゃる。それを会社が単なる怠慢と捉えて叱ったところで、本人は気を付けてるけどやっぱり間に合わなくて、そのうち会社に足が向かなくなる…という悪循環にならないように、どういう取り組みをすればいいか。僕らもKaienさんを通じて(そこの苦手を)把握した上で、そこは本人の課題として取り組みましょう、そして仕事のパフォーマンスは…という風に課題を切り分けています。自分が理解して改善していくのであれば、誰でも頑張れると思うので、長く働いていく上でそこが大事なところと考えています。

最後に

畑田:最初の働くチャンスをもっと社会全体で作っていくべきだと思います。モノやサービスを安く買い叩くよりは、ちょっと高いかもしれないけれどもエシカルな企業(障害者雇用に積極的な企業)にもっと発注しよう、みたいな世の中になっていくと、結果回り回って、座ってるだけでいいんだよっていう仕事よりも、その人が生き生きと世の中に貢献する仕事をして、それを享受する社会の方が、全体のゲインが絶対に大きくなるはず。同じような取り組みをする同志の企業がどんどん増えていって、そこに共感し働く人が増えていくような世の中を作っていきたいと思っております。

Kaienではこんな支援を行っています

Kaienでは発達障害の方向けの就活・転職サイト「マイナーリーグ」を開設しています。人材を積極的に採用している企業の面接会(発達障害の方向け マイナーリーグ面接会)を行っております。開発・設計、サイバーセキュリティ系の求人も多数ございます。障害者手帳がなくても参加可能ですので、ぜひご参加ください。(お申し込みフォーム

IT系を極めたい方には クリエイティブコース をご用意しています。マクロ・VBAをはじめ、WebプログラミングやRPA、ITパスポートや基本情報処理技術者などの資格取得も目指せる内容となっております。また利用者が企業に向けて自らのスキルを売り込む「才能ドラフト会議」を開催しており、第1回では内定者も輩出しました。今後も定期的に行っていく予定です。(第1回才能ドラフト会議第2回才能ドラフト会議

当社の各種サービスにご興味のある方はご利用説明会お越しください。

フル動画のご案内

今回のお話、いかがでしたでしょうか。ハイライト版の動画はこちらから。他にも「高校生のアルバイトでもOKですか?」「ゲーム業界以外でも異能が活躍できる場所はありますか?」など様々な質問に丁寧に答えてくださっています。その様子も合わせて、ぜひフル動画もご覧ください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます