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発達障害の特性を活かしたテストエンジニアの採用スキームを構築した事例

発達障害の特性を活かしたテストエンジニアの採用スキームを構築

どこでもオフィスなど新たな働きやすさを積極的に導入するヤフー株式会社(以下「ヤフー」)。同社では、展開する多くのモバイルアプリのテスト業務を担当する「テストエンジニア」で、2017年から発達障害のあるスタッフを採用しています。

Kaienはテストエンジニアの採用プロジェクトのパートナーとして、業務が可能な人材の紹介や、人材の定着のサポートなどを通じて、ヤフーの障害者雇用を支援しています。

ヤフーの開発部の現場でテストエンジニアの上長として一緒に働いている清水様と、人事部でサポート体制の構築を担当されている名倉様に、発達障害のあるテストエンジニアと働いてみた感触や、今後の展望についてお聞きしました。

遅刻があまり見られず、業務面も当初の想定以上の成果

今後のビジョンについて話していただいた、人事部名倉様

テストエンジニアの業務内容を教えてください。

「Yahoo!ショッピング」のモバイルアプリのリリース前のテストをテストケースに沿って実施するのが主な業務です。その他、テストケースの修正や、報告された不具合の再現手順の確認、画面構成図の作成などを担当していただいています。もともと同じ業務を担当しているテスト専門の派遣社員の方もいましたが、今回採用された方は開発業務の経験がある方だったため、テスト以外の新しい業務もお任せしている状況です。

発達障害のある方をテストエンジニアとして採用した理由を教えてください。

障害者雇用と言っても、そのために特別に業務を切り出すのではなく、アプリ開発という本業に直接関わる部分で、力を発揮していただける方を採用していくことが理想であると考えてきました。特に発達障害のある方は、業務領域を限定すれば、高い集中力や細かいところにも気付くといった特性を活かし、高い成果を上げていただくことができるのではないかという期待がありました。そこで発達障害のある方の特性の理解やその活用の仕方に知見のあるKaienに協力を依頼し、実際に紹介を受けた方が採用につながったという経緯です。

一緒に働いてみて、当初の想定より良かったことや、悪かったことはありますか?

人事側の目線として、期待している業務量や品質を維持できるか、勤怠が不安定にならないかなどの不安が色々とありましたが、実際に働いていただくと、朝の出勤も一切遅刻などすることなく、仕事もきちっと終えていただけているので感心しています。

現場側の目線としても、仕事のスピードは速いですし、とても細かいところまでテストしてくれていて、当初の想定以上の成果を上げられています。開発職での業務経験がある方でしたので、技術的な用語もすぐ理解いただいたり、報告書の書き方が端的でわかりやすいこともとても助かっています。

当初は多少細かすぎるところに目が行ってしまうこともあり「そんなところまで気にしちゃうの?」と現場での課題優先順位の認識の違いで誤解を生むこともありました。細かいところにも気が付くことはテスターとしては強味でもあるので、周囲の理解を進めて、良い方向に力を活かしていっていただきたいと思っています。

コミュニケーションを取る上で注意していることはありますか?

曖昧で冗長な話し方にならないよう、簡潔明瞭に伝えることや、実際のアプリの画面を見せながら視覚的にわかるように話すことなどを意識しています。簡潔なコミュニケーションについては、ヤフー社内ではチャットツールを使ったやり取りが多く、その中で箇条書きで書くなど端的に伝えることが浸透しているため、そこまで特別に配慮をしているという意識はありません。

執務フロアの様子。基本はフリーアドレス制だが、パーティションで区切られた「集中エリア」も。

環境面での配慮やサポート体制について教えてください。

ヤフーのオフィスは基本的にはフリーアドレス制なのですが、「集中エリア」というパーティションでしっかり区切られた場所もありますので、そうした集中できる環境で業務に取り組んでいただいています。サポートを担当する人事部の社員も常に近くに座るようにしていて、何かあればすぐに声をかけられる体制になっています。

さらに、これはヤフーの全社員が実施していることですが、1on1といって週に1回30分程度、上長がメンバーと1対1で話す時間を取っています。業務報告だけではなく業務上の悩み相談やキャリアプランの相談ができるようになっています。定期的にそうした場を設けることで、緊張感を持たず相談しやすい関係を築くようにしています。

今後のビジョンや、発達障害のあるエンジニアの今後のキャリアパスについて教えてください。

ヤフーは100を超えるサービスを展開しており、Web版、アプリ版があることを考えると、テスターとしての業務はまだまだたくさんあり、様々な部署とも仕事が出来るように現在社内を開拓中です。一緒に働いてもらうことが、社内の発達障害の理解促進にもつながりますので、多くの部署に関わってほしいと考えています。

キャリアパスについては、もちろんご本人の意向とのすり合わせではありますが、現在実施していただいているテスト業務のほか、テスト設計や仕様書の作成、さらにモチベーションがある方であれば、開発の業務も段階的にお任せできるようになっていけるとよいと考えています。

より詳しく事例を知りたい方はご本人インタビューも併せてご覧ください

「大学院ではコンピューターサイエンスを専攻していました。世の中のいろいろな物事を繋げることができる、予想もしなかったことが少しの工夫で繋がる、そんなコンピューターの世界が好きなんです。」

目をキラキラさせてそう語る白川さん(仮名)は、ヤフー株式会社でアプリテスターとして働き始めて6年目になるベテランだ。ヤフー株式会社 コーポレートPD本部 業務推進チームには、発達障害のあるアプリテスターが10名以上在籍していて、白川さんはチーム立ち上げ時からいるメンバーの一人である。(続く)

「趣味も仕事もコンピューター 工学博士号を持つTech Geek(テクノロジーおたく)が、挫折を経てたどり着いたヤフーのアプリテスター職」

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