【最新データ】大都市ほど採用難?障害者雇用の「地域格差」が起きる原因と、企業が取るべき2つの突破口

「都内で障害者雇用の求人を出しても、一向に応募が来ない……」 「法定雇用率の引き上げが迫っているのに、採用競争が激しすぎてお手上げ状態だ……」

都市部、特に東京などの大都市圏に本社を置く人事担当者や経営者の皆様のなかには、このような「採用難」の壁に突き当たっている方も多いのではないでしょうか。実は、日本の障害者雇用には深刻な「地域格差」が存在します。大都市圏が激しい採用競争にあえぐ一方で、地方には「事務職やIT職として働きたいけれど、地元に仕事がない」という優秀な人材が数多く眠っているのが実情です。

本記事では、最新のデータをもとに障害者雇用の地域格差が起こる原因を紐解き、大都市圏の企業がこの状況を打破するための「2つの具体的な突破口」について解説します。

1. データで見る障害者雇用の「地域格差」:なぜ東京は実雇用率が低いのか?

厚生労働省が毎年公表している「障害者雇用状況の集計結果(通称:ロクイチ(61)報告)」の都道府県別データを見ると、地域による雇用の進捗状況に極めて大きな差があることが分かります。

実雇用率のトップとワースト

都道府県別の「実雇用率(実際に雇用されている障害者の割合)」を比較すると、最も数値が高いのは沖縄県で3.27%、ワーストランキングには東京都などが名を連ねています。

大都市圏で実雇用率が低迷している最大の要因は、「企業の数に対して、求職者(働く意思のある障害者)の数が圧倒的に不足していること」にあります。大企業や官公庁が密集する東京では、各社がこぞって採用活動を行うため、慢性的な「超・売り手市場」となり、採用競争が極限まで激化しているのです。

法定雇用率「達成企業」の割合に見る、自治体の熱量

法定雇用率を達成している企業の割合のトップ3を見ると、島根県、佐賀県、宮崎県といった地方の県が上位を占めています。

この背景には、地方自治体による障害者雇用に対する「熱量」や「温度感」の違いがあります。 例えば、神奈川県川崎市や京都府などのように、首長自らが「障害者雇用の先進都市を目指す」と旗を振り、行政主体で強力に雇用を推進している自治体も存在します。こうした行政の本気度が、地域の雇用促進を大きく後押ししているのです。

2. 地方が直面する「通勤の壁」と「希望職種」のミスマッチという課題

地方は雇用率の数値こそ高いものの、独自の深刻な課題を抱えています。それが「移動(通勤)の壁」と「仕事内容(職種)のミスマッチ」です。

① 地方特有の「移動(通勤)の壁」

大都市圏のように公共交通機関が発達していない地方では、移動手段が「自家用車」に限られるケースが少なくありません。 例えば、工業団地などにある工場で障害者雇用の求人があっても、駅から遠く、障害の特性上(あるいは運転免許がないため)車を運転できない方にとっては、物理的に通勤することが不可能なケースが出てきます。この移動手段の確保の難しさが、地方における雇用機会を狭める要因の1つとなっています。

② 「事務・IT職」を望む求職者と「軽作業求人」のミスマッチ

都市部では、事務職(オフィスワーク)やIT関連職、専門職など、障害者雇用であっても選べる職種の幅が広く確保されています。 しかし、地方都市では求人の大半が「軽作業」「清掃業」「一次産業(農業など)」といった職種に偏りがちです。

就労移行支援事業所などでPCスキルや事務処理、IT技術の訓練を積み、「事務職として自分のスキルを活かしたい」と望む優秀な求職者が地方にたくさんいるにもかかわらず、地元にはそうしたオフィスワークの求人がほとんど存在しない、というミスマッチが起きています。また、そうした方々が仕事を求めて首都圏へ簡単に転居できるかというと、生活基盤や体調管理、経済面の事情から難しいのが現実です。

3. 【突破口①】地方の優秀な人材を「リモートワーク(在宅勤務)」で雇用する

この「大都市の採用難(仕事はあるが人がいない)」と「地方のミスマッチ(優秀な人はいるが事務・ITの仕事がない)」というねじれ現象を解決する最大の武器が、リモートワーク(在宅勤務)の導入です。

地方に住む「事務・ITスキルを持った優秀な人材」と、都市部の「求人企業」をリモートワークで結ぶことで、双方の課題を同時に解決することができます。

リモートワーク雇用の先駆事例

  • 大手派遣会社(特例子会社)の事例: 非常に早い段階から障害者雇用のフルリモートワーク(完全在宅勤務)体制を整備しています。北は北海道の離島から南は沖縄まで、日本全国に住む重度の身体障害がある方々が在宅で業務に従事できる環境を整え、安定した雇用実績を上げています。
  • IT特化型 特例子会社の動き: 近年では、地方の優秀な人材を在宅で雇用し、高度なIT業務や事務処理で活躍してもらう特例子会社を新たに設立する動きも広がっています。

リモート雇用の懸念点「進捗・コミュニケーションの不安」をどう解消するか?

在宅勤務の導入にあたって、多くの企業が抱く不安が「お互いの顔が見えない中で、指示が伝わるか」「業務報告(ホウレンソウ)をスムーズにできるか」という点です。しかし、これらは運用の工夫次第で十分に解決可能です。

  • 初期の関係性構築(ハイブリッド型オンボーディング): 採用直後の1〜2週間、旅費や宿泊費を会社が負担して本社(または拠点)に来てもらい、対面でPCの設定や初期トレーニングを一緒に行う期間を設けてから、リモートワークに移行する手法をとる企業が増えています。
  • 業務外コミュニケーションの確保: チャットだけのやり取りに頼らず、オンラインで業務外の雑談やコミュニケーションの時間を意識的に設定することが効果的です。 例えば、メンバーのほとんどが完全リモートワークへ移行している総合インターネット企業の特例子会社では、年に1回クリスマスパーティーを開催するなど、リアルとオンラインを組み合わせた「仲間づくり」や「会社・チームへの帰属意識」を高める工夫を行っています。

4. 【突破口②】地方都市に「BPOセンター・特例子会社」を設立する

もう1つのアプローチが、地方都市に自社の「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)センター」や「特例子会社(サテライトオフィス)」を新設するという手法です。

驚異の「応募倍率20倍」も!地方設立の圧倒的な採用力

都市部では1人の応募者を数十社で奪い合う状況ですが、地方にオフィスを立ち上げると状況は一変します。 九州(宮崎県など)に特例子会社を設立したある企業では、定期募集をかけるたびに、毎回募集定員の20倍を超える応募が殺到しているといいます。

地方において「安定したオフィスワーク(事務職)」の求人は極めて希少価値が高いため、意欲的でスキルの高い優秀な求職者層を、非常に低い採用コストで確保することが可能になります。初期の拠点開設費用や設備投資は発生するものの、採用コストや定着率などをトータルで考えた場合、都市部で採用活動を続けるよりもはるかにコスト効率(費用対効果)が優れているケースが多いのです。

地方自治体と連携するメリット

さらに、地方への拠点進出は、自治体(県や市)からも非常に歓迎されます。 障害者の雇用機会が増えることは、地域の納税者を増やし、行政の福祉コストを下げることにつながるためです。

実際に、企業と地方自治体が「雇用推進に関する協定」を締結して企業誘致を受けるケースも多く存在します。これは、企業のイメージ向上やESG経営・SDGsの観点からも、強力な社会的ブランディングに繋がります。 設立場所を選定する際には、前述の「実雇用率や自治体の推進熱度」といった都道府県別データを大いに役立てることができます。

5. まとめ:自社に最適な「障害者雇用の形」をどう構築するか

大都市圏での激しい採用競争を回避し、かつ法定雇用率を安定して達成するためには、従来の「本社(都市部)に通える人だけを採用する」という枠組みを広げることが不可欠です。

  • フルリモートワークを導入し、地方の優秀な人材を在宅で雇用する
  • 地方都市にBPOセンターや特例子会社を立ち上げ、地域密着で安定採用を実現する

これらのアプローチは、単なる「法定雇用率のクリア」にとどまらず、自社の業務効率化(BPO化による本社業務の切り出し)や、地域社会への貢献、ESG経営の推進といった、企業としての大きな成長機会をもたらします。

障害者雇用の「地方採用」「リモート体制構築」は、Kaienにご相談ください

株式会社Kaienでは、就労移行支援の現場で培った「事務・ITスキルを持つ優秀な障害者人材」のネットワークを全国に有しています。

  • 地方在宅(リモートワーク)雇用の求人設計・人材マッチング
  • リモート環境下で定着を促すためのコミュニケーション体制・管理手法の導入支援
  • 地方でのサテライトオフィス開設や特例子会社設立のコンサルティング

など、貴社の課題や規模感に合わせて最適な解決策をご提案いたします。 「都内での採用に限界を感じている」「在宅雇用の具体的なノウハウを知りたい」という人事担当者様は、ぜひ一度、当社の無料相談へお気軽にお問い合わせください。

※本記事は、Kaien公式YouTubeチャンネルの配信動画『大都市ほど採用難⁉障害者雇用の地域格差を読み解く【障害者雇用アップデート&リポート】』の内容をもとに作成したものです。

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