株式会社KDDIチャレンジド

障害者雇用の「量」から「質」へ ~設立15年目の特例子会社が今取り組む、アセスメントと人材育成~

KDDIの特例子会社である株式会社KDDIチャレンジドは、2008年に設立され、現在は約110名の障害者社員(以下「社員」)が活躍しています。重度を含む知的障害の方や精神・発達障害の方が多く活躍する同社では近年、人材育成に力を入れています。

Kaienでは人材育成のコンサルティングサービスとして、社員の強み・弱みを可視化するアセスメントツールの作成と、社員向けキャリアプラン研修の作成・実施をサポートさせていただきました。

15年にわたる障害者雇用の経験と知識のある特例子会社で、いま改めて人材育成に取り組む意義や想い、その中で感じることなどを伺いました。

取材協力:

株式会社KDDIチャレンジド 代表取締役社長 間瀬 英世 様
同 事業戦略部 部長 高田 麻里子 様
同 事業推進二部 統括リーダー 大屋 瑞夫 様

人材育成について、どのような想いを持っていらっしゃるのですか?

間瀬様:私がKDDIチャレンジドに出向してきたのが2020年でした。当時コロナウイルスの感染拡大が始まった頃で社員もほとんど出勤していない状況だったこともあり、まずは全社員と1on1で面談をしました。その中で、例えばあまり自分のことを語らず黙々と軽作業をしている社員にも、実は様々なポテンシャルがあるのではと感じることが多くありました。しかし、各社員にどういった強み・弱みがあるのか、社内で”見える化”されていない状況だったのです。
当社は2030年ビジョンとして「障がいのある人が『働くことの大切さ』を感じられる企業へ」という目標を掲げています。そのためには人材育成が必要で、まずは個々の適性を”見える化”して社員の可能性を拡げていく必要があると考えました。
当社の管理者(リーダー)はKDDI本体出身の定年再雇用の社員も多いのですが、あるリーダーが「自分は人生を楽しんで60歳まで来た。チャレンジドの社員にも仕事を通して人生を楽しんで欲しい。自分が再雇用として働くこの5年間でそういう会社にしたい。」と言っていたことが印象的でした。人生の中でも多くの割合を占める仕事の時間を楽しんでもらい、人生を豊かにしてもらいたいと、私も考えていました。そのような中で、部門横断で人材育成のプロジェクトを立ち上げました。

実際にどのようなプロジェクトに取り組まれたのでしょうか?

高田様:これまで社員数を増やすことに重点が置かれていた時期から、間瀬の方針もあり人財育成に取り組み始めています。2030年ビジョンへの中間目標として、心理的安全性と人財育成を掲げられています。人事制度も2021年に改訂し、2022年に本格的な部門横断プロジェクトとして「ツナグカプロジェクト」を立ち上げました。自立と成長を促す人材育成をしていくためには何をしたらいいか、というのをプロジェクト内で考えていきました。
間瀬の話にも”見える化”とありましたが、今までは体系化されずOJTのみで、現場のリーダーしかそのチームの社員の適性を知らない状況でした。まずは社員本人に自分を知ってもらい、人事やリーダー間でも共有していくこと。そのうえで本人が今後のキャリアプランを立てたり、プランを実現するための育成計画や研修体系の整備などを会社として整えていく、というサイクルを作っていくことを目指しています。

大屋様:プロジェクトには、①コミュニケーション向上チーム、②人事制度チーム、③アセスメントチーム、④リーダー研修チームの4つのチームがあり、Kaienにご協力いただいたのは③アセスメントチームでのツール作りです。アセスメントチームの目標が、社員の強み・弱みを見える化して育成に役立てることでした。

「ツナグカプロジェクト」のポスター。
プロジェクト名も、このポスターのイラストや標語も、それぞれ得意な社員が作ったもの。
日々の業務以外でも社員の強みが活かされています。

Kaienにご相談いただく前は、どのようなことを課題に感じていたのでしょうか?また、どのような経緯でKaienにご相談くださったのですか?

大屋様:アセスメント項目を作ることにとても苦労していました。社内で考えると、現場の仕事をよく知っているだけに、細かい面に目が向いてしまってなかなか項目を絞り込めず、どうしたらいいのか分からない状態でした。

高田様:正直、迷走状態でした。Kaienだけでなく外部の就労支援機関などにもアセスメントをどのように実施しているのか聞いてみる中で、Kaienのアセスメントが体系化されていて、また当社に合わせて一緒に作ってくださるというお話もいただけたので、Kaienにお願いしたいと思いました。

間瀬様:Kaienにお声がけしたのは、信頼している社外の方からの紹介がきっかけです。私が大切にしている言葉で、佐々木常夫さんの「プアなイノベーションより、優れたイミテーション」というものがあります。社内だけで頑張るのではなく、経験豊かなKaienの「外脳」を使わせていただくことで、結果的にできあがったツールにも説得力が出たと思います。

実際にKaienにご依頼いただいて、できあがった成果についてはいかがでしたか?

高田様:Kaienには私達と一緒にアセスメントシートを作って頂きましたが、一番は数値とレーダーチャートで視覚化されたことが大きかったです。社員本人にもリーダーにも伝わりやすくなりました。人事異動の際にも、社員の適性を確認するための判断基準として使っています。アセスメント項目も、当社で必要な項目をピックアップして提案いただけたので助かりました。

大屋様:アセスメントシートはとても使いやすい形で作っていただけました。シートにはアセスメント項目と評価軸が記載されているのですが、内容が抽象的すぎず適度に具体的なので、社員とも話しやすかったです。実施してみると、管理側が認識している社員の得意不得意と、社員本人の認識にギャップがあったりして、それが明確になったのが良かったです。

間瀬様:普段あまりしゃべらない社員でも意外と自己評価が高い人がいたりと、ポジティブな気づきがありました。あまりしゃべらない社員について、「自信が無いのかな」とバイアスで決めつけていた部分もあったのかもしれません。

高田様:アセスメントを実施した後、Kaienにはキャリアプラン研修のプログラムも一緒に作ってもらい、実施してもらいました。アセスメントの結果を用いて、今後の目標やキャリアを考えてもらう研修です。社員同士のグループワーク型研修をするのが初めてで、社員たちが発言してくれるのだろうか、無理をさせないだろうかと不安だったのですが、Kaienが支援経験に基づいて「こういう問いかけにすれば無理なく発言できると思います」などアドバイスいただけたのが安心材料になりました。実際に実施してみたら、時間が足りないくらいの発言が出て、社員同士も刺激し合える良い場になりました。

完成したアセスメントシート(左)と、キャリアプラン研修(右)

今後、貴社の人材育成で取り組んで行きたいことを教えてください。

間瀬様:障害者雇用においても「雇用の質」が雇用主に求められるようになります。ポテンシャルや意欲のある人にはどんどんステップアップしていってもらいたいと思っています。本体への出向・転籍なども含めて、社員の処遇もあげるようにしていきたい。それが最大の夢であり目標です。

大屋様:これまで、社員について管理側が「この業務はできるけど、この業務は難しい」と決めつけがあったかもしれないと、今回のプロジェクトで感じました。いろんなことにチャレンジしてもらって、社員の可能性を引き出していきたい、そのために今回作成したアセスメントツールを活用していきたいと思います。研修も、重度知的障害などの社員には難しいのではと思っていた面がありましたが、やり方を考えればできるということに気づきました。

高田様:現場リーダーたちと一緒になって、社員の育成を考えていきたいです。今後はみんなが成長できる、学んでみたいと思えるような研修プログラムを揃えていくことも必要になっていきます。社員がいきいきと人生を楽しんで欲しい。そして会社として生産性も上がって行けば尚良い、そんな風に考えています。

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