発達障害のある部下・同僚 ~採用から日々の接し方まで~

発達障害*という言葉は、最近メディアでも盛んに取り上げられ、社会的に注目されているトピックのひとつになっています。発達障害が取り上げられ始めた数年前、話題に上るのは「子どもの発達障害」がメインでした。しかし最近では、「大人の発達障害」についても非常に関心が高まっています。

皆さんの中には、「もしかして自分の同僚・部下は発達障害なのでは?」と感じている方がいるかもしれませんし、発達障害を周囲に開示している同僚や部下に対しての接し方にお悩みの方がいるかもしれません。障害者雇用を推進する中で、発達障害の方を雇用する際の留意点が知りたい、サポート体制をどのように作っていくのかを知りたい、という方がいるかもしれません。

このページでは発達障害のある方の周囲の方に向けて、職場でのかかわり方やサポート例を紹介します。

うつからわかる事が多い職場の発達障害

成人の発達障害の方の多くは抑うつや不安、パニック障害などの二次的な精神障害を重複しているケースが非常に多いといえます。特に大人になるまで発達障害の診断を受けていなかった人は、職場でのトラブルやストレスから抑うつ状態になり、精神科を受診し、そこで初めてご自身に発達障害の特性があることを告げられるケースも多いです。

このように、発達障害を背景に起こるうつや不安などの精神障害は「二次障害」と言われます。(発達障害が一次障害、他の精神障害が二次障害という考え方です)

発達障害のある方の中には、幼いころから周囲に比べて失敗の経験が多かったという人や、そのために注意されたり叱責された経験が多かったという人もたくさんいます。結果、自分に自信が持てなかったり、自分に対してネガティブな評価をしたりする傾向があります。

学生時代に問題がなくむしろ成績は優秀なタイプだった人が、社会人になったとたん会社でのふるまい方や仕事の進め方、人間関係のつくり方が分からず、二次障害を発症して離職、というケースはまったく珍しくありません。

働き方 障害者枠と一般枠

発達障害のある方の働き方は、大きく以下の2つに大別されます。

①障害者雇用の採用枠を選択する

障害者雇用の採用枠を選択する場合、ご本人が自分の障害を採用時に開示し、障害者雇用枠の中で勤務します。

特例子会社の社員として働く場合もあれば、採用枠は障害者雇用でも障害のない社員と同じオフィスで働く場合もあります。同じオフィスで勤務する場合でも、業務内容や働き方で配慮を受けており、勤務時間や給与体系等も異なります。企業にとっては、このような働き方の社員を障害者雇用の法定雇用率に算入することが可能です。詳しくは「企業人事 発達障害の豆知識」の特集もご覧ください。

②一般的な採用枠を選択する

現状では、おそらくこのパターンで働いている方が最も多いと考えられます。

一般的な採用枠を選択している人の中には、

  • ご本人が障害を周囲に開示して勤務している方
  • 人事や直属の上司など、一部の人に開示して勤務している方
  • ご本人が障害を周囲に開示せずに勤務する方
  • 発達障害の傾向があるものの、診断を受けていない方(診察されれば発達障害の診断が出る可能性のある方)

が含まれます。

ご本人が職場で発達障害であることを開示している場合、障害者雇用の採用枠での就職でなくでも、職場では必要な配慮を提供することが求められることがあります。特に、今後は障害のある方にとっても働きやすい環境を整えるために、障害者差別解消法に基づき、職場での合理的配慮を提供することが求められるようになります。合理的配慮については「発達障害 仕事がうまくいく 合理的配慮の求め方 一般枠でも障害者枠でもお願いできる配慮の具体例」のページで詳しく説明していますので、併せてご覧ください。

発達障害のある人を採用したい

発達障害のある人は精神障害者保健福祉手帳を取得することが可能です。したがって、発達障害のある方を障害者雇用の枠で採用した場合は他の障害種同様、企業の法定雇用率算出の対象になります。

発達障害のある人を雇用する良さを、当社では主に3つお伝えしています。

①「障害者雇用率」が改定されたこと

2018年の4月に『精神障害者の雇用義務化』があり、2021年3月には『障害者雇用率の2.3%の引き上げ』がありました。(詳しくは「企業人事 発達障害の豆知識」のページをご覧ください。)

実は身体障害や知的障害の方よりも、発達障害の方は圧倒的に多いです。
例えば東京都の障害者手帳交付の状況から考えてみましょう。知的障害の方に交付される手帳は療育手帳と言い、東京都では愛の手帳という名称です。2018年7月の1か月間で交付された愛の手帳は、0歳~18歳以上を全て合計すると233件でした。身体障害(視覚障害や聴覚障害、肢体不自由、内部障害をすべて含む)のある方に交付される身体障害者手帳は18歳未満と18歳以上を合わせた新規交付が1880件でした。

では、発達障害のある方とその他の精神障害のある方に交付される精神障害者保健福祉手帳の同じ月の交付数が何件かというと、なんと2093件です。しかもこの数字は手帳の等級で言うと最も軽度の3級の交付数で、1級~3級までを合計すると4816件の交付がありました。1年間ではなく、1か月間の交付数です。もちろん、精神障害保健福祉手帳の取得者の中には、発達障害ではない方もいます。しかし、この数字だけ見ても、他の障害種に比べて発達障害のある方の人口が圧倒的に多いことが予想されます。障害者雇用を促進していく中で、多くの企業で精神障害の人を一層雇う必要があるということになってくるでしょう。

②戦力として可能性があること

発達障害の方の特性は人によりさまざまですが、高いスキルと集中力をお持ちの方が多くおられます。実際に、現在では発達障害の特性をポジティブにいかして企業に貢献できるような働き方をしている発達障害の方も多くいます。

先ほども触れたように、発達障害の方に必要な職場での配慮は大掛かりなものではない場合が多いといえます。もちろん、職場で理解を得る必要はありますが、普段のかかわりの中で少しずつ配慮をすれば、高いパフォーマンスを発揮できる場合も多くあります。(企業の方には発達障害人材を採用するメリット・デメリットの記事がおすすめです。)

③多様性のある企業の企業になるきっかけとして

近年、社会的な面においても、ビジネスの面においても「多様性のある企業」が求められています。
個性のある方を採用し、その方が働きやすい業務フローとは何か、環境はどういったものかを考えることで企業としての底力を高めることができます。

障害のある方にとって働きやすい職場は、そこで働く障害のない多くに人にとっても働きやすい職場になるはずです。

では、実際に発達障害のある方を採用するにはどのような手段があるのでしょうか。

例えば当社では発達障害者専門の就活・転職サイト「マイナーリーグ」を運営しています。マイナーリーグは、発達障害の方と企業をつなぐサイトです。企業は発達障害の方向けに特化した求人を公開でき、求職者側も発達障害者向けに限定された求人を閲覧することで、両者にとってより効率よく採用活動を進めることができます。

また、求職者側は勤務態度や業務量、業務内容などなど簡単に自分の希望を選択でき、企業側でも配慮可能な事項と配慮の程度(段階)を選んで頂ける機能をつけました。これにより、求職者側と企業側とで配慮事項のすり合わせをサイト内で簡単に行えます。既に多くの企業から求人の掲載をいただいています。関心のある方は、ぜひマイナーリーグについてのご紹介ページもご覧ください。

また、2018年より「発達障害の方向け少人数制面接会」を実施しています。1回につき2社程度にお越しいただき、一般的な面接よりも落ち着いた環境で、求職者と採用側がじっくりお話ししたり、会社の説明をしていただくことができます。こちらも、毎週多くの企業にご参加いただいております。関心のある方は、「発達障害積極採用企業による少人数面接会」のページもご覧ください。

周囲の支援 枠組みの活用

①合理的配慮を申請する

合理的配慮の申請はご本人が職場に配慮依頼をするところから、配慮提供に向けた話し合いがスタートします。例えば、車いすを利用している身体障害のある方が、「会社の入り口の前の階段が登れないので、スロープを付けてもらえないか?」と、会社側に配慮を申請するという具合です。ですので、合理的配慮の範囲内でのサポートは、あくまでもご本人発信からスタートすることが前提になります。

②ナチュラルサポート

もう一つのサポートの考え方に、「ナチュラルサポート」があります。ナチュラルサポートとは、日々の生活の中で関る人が自然にサポートをしあう考え方です。実際に職場に発達障害の方がいる場合で、特に一般的な採用枠で働かれている場合は、合理的配慮よりもナチュラルサポートの提供が現実的でしょう。

ナチュラルサポートは、実は難しい概念ではありません。発達障害のある方に対して以外にも、私たちの多くはお互いにナチュラルサポートを提供しあいながら働いています。
例えば、こんな経験はないでしょうか。

はじめて配属された部署で、知識も乏しく仕事の優先度がつけられなずにどんどんタスクがたまっていく…。何を誰に相談すべきかもわからない…。そんな時に、上司が声をかけてくれる、同僚が事務処理を手伝ってくれたり仕事を分担してくれたりする。こういったサポートは取り決めがあって提供されるものではないはずです。このように、職場で自然に提供されあうサポートがナチュラルサポートに含まれます。

周囲の支援 具体例と注意点

特性に配慮した人事配置などの話は別として、現場レベルで提供してほしいサポートは大掛かりなものではないことがほとんどです。

①具体例

指示の「見える化」をする

指示は口頭だけでなく、メモやメールなど視覚的に確認できるような形で渡すとよいです。発達障害の方の中には、「ワーキングメモリ」という、短時間でちょっとしたことを記憶する力が弱い方がいるため、後から確認できるような指示の出し方をするとよいです。視覚的理解が優れている人が多いため、文章だけでなく図や絵で示すとなおわかりやすいでしょう。

指示は一つずつ明確に

同時に複数のことを指示されると、優先順位上手につけられないことがあります。できるだけ指示は一つずつ渡す。あるいは、どの作業を優先すべきか優先順位を伝え、一つひとつの作業を一連の流れとして理解することができると、よりスムーズに進みます。
また、「適当にやっておいて」「手の空いた時にやって」など、あいまいな指示に困惑してしまうことがあります。「〇月×日までに」「完成の例はこのサイトを見て」など、業務のゴールが明確にわかるような指示だとよいでしょう。

予定の変更は早めに伝える

イレギュラーな予定は、できうる限り早めに、理由を添えてお知らせできるとよいでしょう。例えばASDの方は急な予定の変更にほかの人よりも戸惑ってしまったり、不安になってしまうことがあります。また、ADHDの方は予定の変更に伴い他の作業の優先順位を調整することが苦手な場合があります。

環境の整備をする

感覚の過敏や集中の特性に応じて、職場の作業環境を調整したほうが良い場合がります。合理的配慮の中では、環境整備が最も申請されやすいと予想されます。例えば、デスクを一番端の刺激の少ない場所に設置してほしい、パーテーションを設置してほしいなどがあります。また、光への過敏さからサングラスの使用を許可してほしい、音への過敏さからイヤーマフの使用を許可してほしいなどもあります。

人間関係

仕事の場と昼休みは区別して、できる限り別行動をするとよいでしょう(昼休みは一人で静かな部屋で過ごしたいという方が多くいます)。その他の人間関係のサポート例としては、飲み会に参加する頻度を少なくしたい、困っていることがないか上司から定期的に声掛けしてほしい(自発的に相談することが難しい場合があるため)、などの日常のちょっとした配慮が考えられます。

上記のような些細な配慮は、ナチュラルサポートの範囲で提供されうるものも多いでしょう。上司や同僚は支援者になる必要はありません。ただし、ともに仕事を進めるチームとして、負担にならない範囲でお互いにサポートしあえるとよいのではないでしょうか。

②決めつけない

ひとつ注意すべきなのは、「あなた、発達障害ということはこういうことはできない/できるんだよね?じゃあ、こういう配慮をしよう/こういう仕事を任せよう」と周囲の独断で決めることは避けなければなりません。(もちろん、上記のナチュラルサポートに含まれる、誰に対しても提供されるようなサポートについてはこの限りではないでしょう)

周囲からの一方的な決めつけで対応しようとした場合、場合によっては障害者差別解消法に抵触する可能性があります。特性や困りごとは本当に多様です。特に合理的配慮のように公式に提供されるサポートについては、本人と企業側・職場で共に働く社員との建設的な対話によって検討される必要があるでしょう。

また、当然ですが「発達障害っぽい」と思う社員に「あなたは発達障害だと思うから、こういうサポートをするね」という方針を取るのも厳禁です。発達障害の鑑別は専門家でも難しいですし、日本ではその判定ができるのは精神科医だけです。接している中で発達障害が疑われるというような場合でも、「発達障害だから」サポートするのではなく、「本人や周囲が仕事上困っているから」サポートする、という意識で接すると良いです。(実際、発達障害でもお仕事上の困りごとは特にない、という方もいます。)

対応に困ったら

繰り返しになりますが、発達障害のある社員の周囲の社員はあくまでも同僚であり、上司であり、後輩です。ですから、「支援者になる」ことを求められているわけではありません。

ですので、発達障害のある方の働きやすさを追求するために、他の社員が多忙になるという展開は望ましくありません。発達障害のある社員のサポートをするというよりも、業務を効率よく遂行するために配慮をする・役割分担をする、というイメージを持つと良いでしょう。

ご本人の障害由来の困りごとへの対策を考えることは、職場の人間だけが担う役割ではありません。ご本人や、担当医、産業医、カウンセラーとともに考え(あるいはサポートについての提案を受け入れたり、提案について協議して)、そして決定した方法でサポートをしていきます。

ただし、全ての会社に発達障害に詳しい産業医やカウンセラーがいるとは限りません。例えば外部の専門機関に相談したりすることも適宜必要です。

職場での発達障害 典型例

最後に、職場での発達障害の具体的な振る舞いを見ていきましょう。

自閉スペクトラム症(ASD)

「自閉症」や「アスペルガー症候群」という名前の方がなじみがあるかもしれません。ASDは、従来「広汎性発達障害」、「自閉症」・「アスペルガー症候群」と別れていたものを、ひとつの障害としてまとめて表したものです。特徴としては大きく2つあります。

①社会的なコミュニケーションの取りにくさ

職場では、例えばこちらの伝えたい内容やニュアンスが伝わらなかったり、社会人としてのマナーなど「普通こうだよね」という共通認識がずれている場合があったり、職場での雑談に参加しなかったり、ということがあります。誤解しないでいただきたいのは、ASDの方全員にすべての特徴がみられるわけではなく、共感のポイントがずれてしまったり、他者の表情や仕草、状況の文脈から、相手の心情を察することに苦手さがあるだけです。(一方で、自分と他人の境界があいまいで、他の人が叱責されているのにまるで自分のことのようにショックを受けてしまうという方もいます。)「空気を読まない」のではなく、場の空気を読もうとしても、読んだ結果が大多数の人とずれてしまうことが多い、というイメージです。

②独特のこだわり(独特の感覚)

仕事の進め方に自分なりのルールがあり、仮に他者から見て非効率的であっても、自分のルール通りに仕事を進めることを好みます。毎日のルーティンが決まっていて、急な予定の変更に弱い場合があります。このような側面は、職場では「きっちりした人」「ルールを守る人」、言い換えると「融通の利かない人」「頑固な人」という印象を持たれるかもしれません。

加えて、感覚の特異性がある場合があります。一般の人にとっては静かなオフィスでも、空調の音や他の社員のちょっとした雑談の声、キーボードをたたく音、電話が鳴る音など、些細な音に敏感なことがあります。また、光の過敏さのために蛍光灯の下では眩しすぎるという方や、触覚の過敏さのためにお化粧ができなかったり、指定の制服を着ることがストレスにつながる場合(生地が肌に合わない)もあります。敏感さの逆に、刺激の感じにくさがあることもあります。感覚については「感覚過敏・鈍麻について教えて下さい 理解されづらい発達障害のもう一つの苦しみ」のページで詳しく解説しています。

ASDの特徴や診断基準、服薬、向いている仕事等についてさらに知りたい方は、「大人のASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)」のページも併せてご覧ください。

ADHDは、一般的には以下の2つの側面から解釈されます。

①不注意優勢型

いわゆる「うっかり」間違いが多いタイプです。忘れ物をしたり、約束を忘れてしまうということは、誰しも経験があると思います。 しかし、ADHDの方の場合、「うっかり」の度合いが大きかったり、頻度が高かったりします。例えば、大事な書類の提出期限を忘れていたり、誤字脱字や計算のミスが多かったりする場合があります。気が逸れやすかったり、前のことにとらわれてしまい物事に長時間集中し続けることが苦手な人もいます。また、整理整頓が苦手という方も多く、デスクの上が散らかっていたり、そのために必要なものを失くしてしまうこともあります。忘れ物が多いという人もいます。実は女性のADHDでは、この不注意優勢型が多いといわれています。

②多動・衝動性優勢型

ひとつの物事にじっくり取り組んだり、ひとつの場所にじっと留まることを好みません。つい貧乏ゆすりをしてしまったり、じっとしていても内心は落ち着かないことが多くあります。 子どものADHDでは授業中に席を立つという課題が取り上げられることが多いですが、大人になるにつれて行動面での多動性は収まってきます。しかし、落ち着いたように見えても「頭の中が多動」という状況になっている可能性があります。ふと気になることに次から次へと考えが移り、常に思考があわただしく変化しているという感じです。気持ちのコントロールが効きにくい場合があり、カッとなって言い返してしまったり、後先考えずに思ったことを伝えてしまうことがあります。じっくり計画を立てて行動するよりも、思いついたら即行動という場合が多いでしょう。

不注意と多動性・衝動性を併せ持つ場合ももちろんあります。また、上記の特徴以外の職場で目立ちそうな特徴としては、大事なことを先延ばしする癖があることや、同時進行で物事を進められないことなどもあげられます。より詳しくADHDの特徴や服薬、向いている仕事等についてさらに知りたい方は、「大人のADHD(注意欠如多動症)」のページも併せてご覧ください。

限局性学習障害(SLD)

全体的には理解力などに遅れはない(この点が知的障害とは異なります)ものの「読み」、「書き」、「算数(計算)」など特定の課題の学習に大きな困難がある状態のことを指します。SLDは、単に「国語の成績が悪い」「数学が苦手」という障害ではありません。様々な認知能力、例えば「聴覚的/視覚的短期記憶」や、「ものの順番を認識する能力」、「聞いたことや見たものを処理する能力」などの凸凹が、結果として「読み」、「書き」、「算数(計算)」の苦手さとして現われている状態がSLDです。

職場では、口頭での指示を覚えきれない、電話の対応が苦手(耳からの情報を得るのが苦手)、マニュアルを読み込むことが苦手、メモを取ることが苦手、などのように特性が現れることがあります。
より詳しくSLDの特徴や向いている仕事等について知りたい方は、「大人のLD(学習障害)」のページも併せてご覧ください。

発達性協調運動障害(DCD)

発達障害についての説明がされる場合、「ASD」「LD」「SLD」の三つが取り上げられることが多いです。しかし、発達障害に含まれる障害はその3つだけではありません。ここでは、発達症協調運動障害(DCD)について紹介します。

ものすごく簡単に言ってしまえば、「不器用」な人、「運動音痴な人」、DCDの方は周囲からこのような印象を持たれるかもしれません。スキップができない、縄跳びの飛ぶタイミングが分からない、靴ひもが結べない…などです。DCDの人は自分の手先や身体全体をスムーズに動かすのが難しいだけでなく、そもそも自分の体の各部分がどこにあり、どのような状態かを瞬時に把握する感覚が乏しいことも知られています。

職場では、大きな体の動きは必要ないでしょうが、紙を枚数ぴったりに数えるなど、手先の器用さが求められる事があるでしょう。DCDの方の場合はこのような指先を使った細かな作業は苦手かもしれません。人によっては、車の運転免許取得に苦労する場合があるでしょう。また、手の動きと目の動きを組み合わせることが苦手な場合、PCのタイピングが遅いことがあるかもしれません。

このほかにも、チック障害やトゥレット症候群など発達障害に類する障害は複数あります。詳しくは「ASD・ADHD・LD以外の発達障害」のページでもご紹介していますので、ご覧ください。

発達障害 個人差が大きく偉人もいるが多くは普通の人たち

これらの障害は、同じ診断名でも個人によって状態はかなり異なりますし、複数の障害を重複している場合も珍しくありません。(ですのでこのページの中でも「~という場合がある」「~かもしれない」という説明の仕方が多くなってしまいます。ご紹介する障害の特性にぴったり当てはまる人と、そうでない人がいるからです。)また、同じようなタイプの人で、その人の置かれている環境や状況によって適応の様子はかなり異なります。わかりやすい例でいうと、同じように不注意でケアレスミスをしやすい傾向がある人でも、校閲の仕事をしているAさんと営業職のBさんでは、Aさんのほうが仕事上の悩みは多い、といった具合です。

またしばしば、メディアの中では素晴らしい才能を持った発達障害の方が登場することがあります。発達障害の特性がポジティブに表れているパターン(例えばADHDの衝動性が、新しい発想を次々に生み出すことにつながった芸能人や、マスコミ関係者、デザイナーなど)と、発達障害の特性に由来しない別の素晴らしい才能が開花したパターン(例えばLDがあり文字を読むことは難しいが、表現することに素晴らしい才能を持つ建築家、俳優、シェフなど)があるでしょう。

もちろん、このように世界的に活躍するような人々の中に、発達障害のある方が含まれることは事実です。しかし、発達障害のある人すべてが世界に通用する天才的な何かを持っているかというと、そうではないでしょう。多くの人が想定する「ふつうの社会人」としての自分を維持するために自分なりに工夫をしたり努力をした結果、体も心も疲れ果ててしまうという発達障害の方もいます。

いっぽうで、発達障害の特性はマイナスに作用するだけではないということは言えます。例えば、ASDのこだわりの強さは職人的なお仕事への取り組み方につながるでしょう。ADHDの衝動性の強さは、新しいことにも物おじせず果敢にチャレンジすることにつながるかもしれません。これは発達障害のある人だけに限られませんが、その人それぞれに合った場所で、それぞれにやりやすい方法で働いたり生活したりしていくことで、個人の最大値を発揮することができるのではないでしょうか。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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