厚生労働省の発表によると、令和3年度(2021年)の障害種別ごとのハローワーク求職登録者数は、精神障害(発達障害*を含む)が約11万人と全体の半数以上を占め、身体障害、知的障害を合わせた三障害のなかで最も求職する人数が多いことが示されました。

参考:厚生労働省 令和3年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめ
企業の障害者雇用のご担当者様のなかには、法定雇用率の遵守のため新規採用を進める必要性を感じつつも、雇用の対象となる精神障害・発達障害の方に任せる業務を社内から切り出すことが難しく、思うように雇用を進めることができず困っている方が少なからずいらっしゃるように感じます。中には、本来であればダイバーシティの観点から社内の業務に貢献する障害者雇用を望みつつも、仕方なく本業外の雇用を行う委託業者のサービスを利用するケースもあるようです。
工夫と進め方次第で、本業に貢献する障害者雇用を創出することは可能です。本記事では多くの企業担当が頭を悩ませている「業務切り出し」の進め方についてお伝えします。
ポイントは業務がある程度見えてから採用要件を固めること
社内各部門から業務切り出しする際の、おおまかな進め方は、以下のとおりです。
- STEP1 各部署への目的の説明
- STEP2 業務候補の社内ヒアリング
- STEP3 実施業務の抽出・選定

もっとも重要なポイントは業務がある程度見えてから採用要件を固めて募集をすることです。
詳しくは「業務切り出し」がうまくいく企業にはどんな特徴がありますか?の記事をご覧いただければと思いますが、事業に対する貢献度の高い業務を切り出して、その業務を提供するスキルを持った人材を採用することにより障害者雇用の好循環が回り始めます。
しばしば障害者雇用の求人情報で「オープンポジション」という募集を目にすることがあります。実際に雇用した後、採用した方のスキルを活かせる業務をアサインすることができればよいのですが、雇用後の業務調整がうまくいかない場合も考えられます。
障害者雇用を進める際には、行き当たりばったりで雇用マッチングを行おうとせず、出来る限り期間に余裕をもって、業務の見通しをつけてから計画的に募集することをおすすめします。
STEP1 各部署への目的の説明
各部署から業務を集約する際には、業務切り出しの依頼相手に目的や趣旨を事前に説明することがとても重要です。
目的を伝えず、単に「障害者雇用のために業務を切り出してください」とお願いしてしまうと、たいていの場合うまくいきません。「障害者雇用のためにわざわざ必要性の低い業務をこしらえている」「仕事をお願いすること自体が組織の負担になっている」という社内の認識になりがちで、その後の業務切り出しの広がりが乏しくなるためです。
各部署の担当者を集めて説明会を実施するとよいでしょう。あるいは説明会が難しいようであれば、資料を作成し配布するのもよいかもしれません。障害者の雇用義務など制度の理解や、ダイバーシティの重要性も織り交ぜつつ、ご担当者様がイメージされている障害者雇用の目指すビジョンを丁寧にお伝えすることで、貢献度の高い業務が集約されます。
参考:貴社の従業員向けに精神・発達障害者雇用啓発セミナーを無料で実施「ニューロダイバーシティ勉強会」
STEP2 業務候補の社内ヒアリング
各部署に、候補となる業務のヒアリングを行います。
Excelなどで定型のヒアリングのフォーマットを作成し、配布すると効率的です。ヒアリングすべき項目は、STEP3で行う、「実施業務の抽出・選定」に必要となる情報です。
障害者雇用のご経験が少ない場合には、何をヒアリングすればよいのか、イメージが湧かないと思います。その場合はぜひ以下リンク先「【業務切り出し】社内向け業務ヒアリングシート」をご活用ください。無料でダウンロードいただけます。

STEP3 実施業務の抽出・選定
ヒアリングシートを集約したら、実際に障害者の方にお任せする業務を選定しましょう。
やみくもに依頼された業務を受託しても、マネジメント側の負担が大きくなってしまいます。貢献度が高く、かつ管理負担少なく、持続性がある業務を設計するうえで、注意しなければならない、いくつかの「選定基準」があります。選定の基準はヒアリングシートにて網羅しているので、ぜひダウンロードしてご確認いただければ幸いです。ここでは一つだけご紹介します。
【業務切り出し】社内向け業務ヒアリングシートをダウンロードする
障害者雇用の業務選定においては、出来る限り「継続性」がある業務を優先して選びましょう。障害者の方のなかには、ひとつの業務を習得するのに、人一倍期間がかかってしまうケースがよくあります。また、業務を教えたり、マニュアルを作成する管理者側のコストも、業務点数が増えるに従って負担が多くなります。ですから、単発業務や受託機関が短期間で終わってしまうような業務の受託は出来る限り避けて、一度業務を習得したらその後も恒常的・安定的に業務が発生する「継続性のある業務」を優先して受託することをおすすめします。
障害者雇用を専門とするコンサルティングの活用もご検討ください

Kaienでは「本業に貢献する障害者雇用」をテーマに企業様向けの各種コンサルティングサービスを提供しています。
業務切り出しを例にすると、以下のようなサポートの提供が可能です。
- 各部署への目的の説明:社内説明会の企画、資料作成、他社の業務切り出し先行事例の情報提供など
- 社内ヒアリング・実施業務の抽出・選定:実施業務の選定のアドバイス、社内ヒアリングの代行、業務マニュアルの作成など
複数名の障害者雇用を早急に進めていく場合にこそ、成功事例に基づくノウハウの活用が重要となります。
まず気軽にご相談をいただけますと幸いです。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。

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