【2023年最新】日本の障害者割合は人口の約7.6%|障害区分ごとの求職者の傾向も

近年、国内の障害者の人口は年々増加しています。
また障害区分ごとの求職者の数も増加しており、今後はますます障害者雇用のニーズが高まっていくと考えられます。
この記事では、日本国内の障害者の数や障害者雇用のニーズ、障害の種類、障害者が増える理由などをまとめました。
今後、障害者雇用をお考えの方は、障害者雇用率改善を考える際の参考資料としてぜひご覧ください。

日本の障害者の割合は人口総数の7.6%

令和4年度に公表された厚生労働省障害福祉課「障害福祉分野の最近の動向」によると、国内の障害者の総数は964.7万人です。障害者数は年々増加傾向で、2006年の655.9万人と比較すると300万人以上も増加しています。国内人口の約7.6%の方に、何らかの障害があるということになります。

障害区分ごとの内訳は、以下のとおりです。

  • 身体障害者:436.0万人
  • 知的障害者:109.4万人
  • 精神障害者:419.3万人

次に、年齢別の障害者人口の比率を表にまとめました。

特に注目したいのは、身体障害の方が他の障害区分と比較して、65歳以上の割合が多い点です。

65歳未満65歳以上
身体障害者26%74%
知的障害者84%16%
精神障害者62%38%
全体48%52%
障害区分ごとの内訳(65歳未満と65歳以上の割合の違い)

在宅・施設入所別の障害者人口の分布も見ておきましょう。

在宅施設入所
身体障害者428.7万人(98.3%)7.3万人(1.7%)
知的障害者96.2万人(87.9%)13.2万人(12.1%)
精神障害者389.1万人(92.8%)30.2%(7.2%)
在宅・施設入所別の障害者人口の分布

在宅と施設入所を比較すると、圧倒的に在宅の方が多いとわかります。

精神障害者の求職のニーズが高まっている

厚生労働省の「令和3年度障害者の職業紹介状況等」によると就職率は42.9%で、前年度に比べると0.5ポイント増加しました。

障害者の就職率の詳細は、表のとおりです。

令和2年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況
新規求職申込件数の推移(障害種別による比較)

引用元:令和2年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況

就職件数(前年度比)就職率(前年度比)
身体障害者20,829件(+4.0%)35.9%(+1.2 ポイント)
知的障害者19,957件(+0.8%) 57.6%(-0.1 ポイント)
精神障害者45,885件(+13.0%)42.4%(-0.2 ポイント)
その他の障害者9,509件(+1.3%)41.3%(+3.1 ポイント)
合計96,180件(+7.1%)42.9%(+0.5 ポイント)
障害者の就職率の詳細についての表

就職件数が増加した要因として、精神障害者の新規求職申込件数の増加とともに、障害者の就職先として高い割合を占める医療・福祉や製造業、サービス業などの求人数が増加した点が挙げられるでしょう。

身体障害者の年齢層は65歳以上の方が多数を占めていることもあり、就職件数や求職申込件数は令和2年と令和3年の数値を比較すると微増しているものの、過去10年を振り返ると減少傾向です。

障害者雇用の採用マーケットにおいては、比較的年齢の若い方が多く、障害者雇用の求職者数全体の半数を超えて、さらに増え続ける精神障害者が主たる雇用対象であり、今後もその傾向が続いていくでしょう。

障害者の区分ついて

身体障害者手帳身体障害視覚障害
聴覚障害
平衡機能障害
肢体不自由
音声・言語機能障害
そしゃく機能障害
心臓機能障害
腎臓機能障害
呼吸機能障害
小腸機能障害
肝臓機能障害
膀胱または直腸機能障害
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
療育手帳知的障害知的機能の障害
精神障害者保健福祉手帳精神障害統合失調症
気分障害
不安障害
強迫性障害
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
依存症(アルコール、薬物、ギャンブルなど)
発達障害ASD(自閉症スペクトラム症)
ADHD(注意欠如多動性障害)
LD(限局性学習症)

※知的障害併発の場合は療育手帳も対象
障害者の区分ついて

ここまでの説明の補足として、障害区分についてすこしわかりづらいところがあるので、補足で解説をします。
一般的に障害について議論や調査が行われる際には、障害は身体障害、知的障害、精神障害、発達障害の4つに区別されています。

一方で、国の障害認定制度である障害者手帳は以下の3つで区分されています。

  • 身体障害者手帳 対象:身体障害
  • 療育手帳 (自治体によっては愛の手帳) 対象:知的障害
  • 精神障碍者保健福祉手帳 対象:精神障害および発達障害

統計データ等で単に精神障害と書いてあり、発達障害が別に項目として設けられていない場合には、精神障害の括りに発達障害が含まれている場合があるので注意が必要です。

障害の区分とその人数

次は障害者の区分ごとの概要や人口、人口比率をお伝えしていきます。

身体障害

身体障害とは先天的あるいは後天的な理由により、身体機能に何らかの障害を持っていることで、身体障害福祉法によって障害の範囲と程度が定められています。
主な身体障害の特徴は以下のとおりです。

  • 肢体不自由
  • 視覚障害
  • 聴覚障害
  • 内部障害
  • 高次脳機能障害 など

身体障害者手帳の交付を受けるには、医師の診断を受けて、等級表の障害に該当する旨の意見書が必要です。
身体障害者手帳は、障害の症状や生活への影響から1級から7級までの等級が設けられています。。7級は比較的程度が軽く、1級に向かうにつれて障害の程度が重度になります。

身体障害者(身体障害児を含む。以下同じ。)の人口は、436.0万人です。
つまり、国内人口1,000人中34人は身体障害があると考えられます。

※リンク挿入「身体障害」

知的障害

知的障害は以下3つの基準に当てはまっていて、日常生活に支障が生じており、支援を必要としている状態です。

  • 知的能力(IQ)が70未満
  • 日常生活や社会生活への適応能力が低い
  • 発達期(18歳以下未満)のときに生じている

知的障害の方が交付を受ける療育手帳(愛の手帳)も、身体障害者手帳と同様に、障害の程度によって等級が分かれています。

厚生労働省のサイトでは重度(A)とそれ以外(B)に区分されていますが、各自治体によってさらに詳細に分かれることがあります。いくつか例を挙げます。

  • 東京都など:1度(最重度)、2度(重度)、3度(中度)、4度(軽度)の4区分
  • 神奈川県など:A1(最重度)、A2(重度)、B1(中度)、B2(軽度)の4区分
  • 兵庫県など:A(重度)、B1(中度)、B2(軽度)の3区分

B2(軽度)の場合、一見すると障害があるようには見えなかったとしても、実際は複雑な会話が苦手だったり、考えるのに少し時間がかかったりして、判断や計画を立てるのが難しい方もいます。

知的障害者(知的障害児を含む。以下同じ。)の人口は、109.4万人です。
つまり、国内人口の1,000人に9人は知的障害を抱えていると考えられます。

精神障害

精神障害は精神疾患によって精神機能に障害をきたし、日常生活や社会参加が難しくなっている状態です。

原因によって外因性と内因性、心因性の大きく3つに分類されます。
思考や感情、行動などに多少の問題が生じるのは誰しもが経験することですが、そのために大きな苦痛を感じたり、日常生活が困難になったりすると精神障害とみなされます。
精神障害の症状は一時的なものもあれば、長期的なものもあり、人によってさまざまです。

精神障害と、後述する発達障害の方が交付を受ける精神障害者保健福祉手帳も他の2種の障害者手帳と同様に、障害の程度により1級から3級まで等級が分かれています。判断基準は生活をしていくうえで「どの程度支障をきたすか」「どのような症状が出るか」という観点で医師が判断します。

等級基準
1級精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの
精神障害の等級について

精神障害者の人口は、419.3万人です。
つまり、国内人口の1,000人のうち33人は精神障害があると考えられます。

発達障害

発達障害には自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠陥多動症(ADHD)、限局性学習症(LD)などの症状があり、生まれつき脳の発達に偏りがある障害です。

同じ障害名を持つ方でも、その人によって特性の現れ方が異なったり、いくつかの発達障害を併発したりします。
得意・不得意の特性や、環境や周囲の人との関わりにズレが生じると、社会生活に困難が生じます。
一見しただけでは障害があるとわかりにくく、困りごとはさまざまです。
発達障害者の人数は、精神障害者の中に含まれていることもあり、正確な人数はわかりません。
ただし、文部科学省の調査によると、公立学校における発達障害者は全体の8.8%と言われています。

障害者の人口が増加している理由

なぜ国内の障害者の人口は増加しているのでしょうか。
以下の3つが理由として考えられます。

  • 高齢者の障害者数の増加
  • 障害に対する意識の発展

それぞれ詳しく紹介していきます。

高齢者の障害者数の増加

日本は少子高齢化が進んでおり、全人口における高齢者の割合はますます大きくなっています。
総務省統計局の「高齢者の人口」によると、2022年9月15日時点で高齢者の人口は3,627万人です。
前年度と比較すると総人口は82万人も減少しているにもかかわらず、高齢者の人口は6万人も増加しており、過去最多となっています。
今後も高齢者人口の割合は増えていくでしょう。

年齢を重ねると身体機能や認知機能が低下し、心身の不自由を訴える方は少なくありません。
認知症が重症化すると、精神障害が認められる場合もあります。
このように国内の高齢者人口の増加が、障害者人口増加の原因のひとつになっていると考えられます。

障害に対する意識の発展

障害者が増えた原因には、障害に対する世間の意識の変化が影響しているでしょう。

以前は障害の中でも特に発達障害は、世間的に障害と認識されていませんでした。
例えば、授業中に何度も動き回る生徒や漢字が覚えられない生徒などは、今までは「変わった人」や「勉強が苦手な人」とされているだけでした。
しかし、近年は同級生に比べて落ち着きがない子やコミュニケーションを取りにくい子などは、発達障害が関与しているのではないかと疑われる頻度が増えています。

そのため、以前に比べると必然的に発達障害と認識される人の数が増加していると考えられています。

まとめ

国内人口の約7.6%が障害者と言われており、その数は年々増加傾向です。
障害の種類は身体障害や知的障害、精神障害、発達障害に分けられ、それぞれ障害者手帳の種類や障害の種類が異なります。
特に精神障害・発達障害の求職者が増えており、身体障害が中心だった障害者雇用の対象が、徐々に精神障害・発達障害へと移り変わっていく過渡期だといえるでしょう。。

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この記事を書いた人

大野順平

株式会社Kaien 就労支援事業部 法人サービス担当
ゼネラルマネージャー / シニアディレクター

2014年Kaien入社。採用支援、定着支援、社内啓発など、これまで20社以上の精神・発達障害人材の雇用推進プロジェクトに参画。

論文寄稿 :

月刊精神科「就労支援におけるneurodiversity」(2023年9月,科学評論社)

取材対応 :

SNS :

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