障害者雇用で休みがちな社員がいる場合、休みが続く理由を適切に把握し、働き続けられる環境に整えることが重要です。欠勤を問題視するのではなく、体調の変化や業務内容とのミスマッチや人間関係の不安、障害特性による負荷など、背景にある要因を丁寧に見極めることが安定した勤務につながります。
一方で、面談の進め方や業務量の調整、勤務形態の柔軟化など、企業としてどこまで対応すべきか判断に迷う場面も少なくありません。
この記事では、障害者雇用で休みがちな社員への適切な対応や、休みがちになる主な理由をわかりやすく紹介します。
このページの目次
- 障害者雇用で休みがちな社員への適切な対応
- 障害者雇用で休みがちな社員にしてはいけない対応
- そもそも障害者雇用の社員が休みがちになる3つの理由
- 無理なく働ける環境整備は何をすべき?
- 障害者雇用で休みがちな社員に関するよくある質問
- まとめ
障害者雇用で休みがちな社員への適切な対応

障害者雇用を理由に社員が休みがちになるとは限りません。実際、株式会社Kaienが採用支援するケースでは、前職や就労移行支援での出席率がほぼ100%に近い方がほとんどです。
とはいえ、もし障害のある社員が頻繁に欠勤する場合、企業側は適切な対応を取る必要があります。ここでは、休みがちな社員への基本的な向き合い方を解説します。
休みが続く理由の確認をする
なぜ休みが続いているのか理由を確認することが大切です。身体的な体調不良なのか、メンタルヘルスの不調なのか、睡眠障害など生活リズムの乱れなのか、さまざまな原因が考えられます。また、休みの原因が仕事上のストレスや業務のミスマッチによるものか、プライベートの問題によるものかも見極めましょう。
家族の介護や経済的な不安など私生活上の問題であれば、企業単独では対応しきれない場合もあります。その際は産業医や障害者就業・生活支援センターなどの外部の専門機関と連携し、必要な支援につなげることも重要です。ジョブコーチは直接生活問題を解決する役割ではありませんが、私生活上の課題が職場適応に影響している場合には、本人や企業と調整しながら、適切な専門機関へ橋渡しを行うことがあります。こうした連携により、社員が安心して働き続けられる環境づくりを検討しましょう。
たとえば職場の人間関係に強いストレスを感じている場合もあり、適切な配慮やコミュニケーション改善が必要になることもあります。原因を正しく把握することで、今後の対策も見えてきます。
定期面談をする
休みがちな社員とは定期的に面談の機会を設け、状況を丁寧に聴取しましょう。上司や人事担当者が1対1で話を聞くことで、社員が抱える不安や職場での困り事を把握できます。
欠勤中で直接会うことが難しい場合は、電話やオンラインで短時間話すことから始めてもよいでしょう。面談では、現在の体調や主治医の意見、業務内容や職場環境、人間関係の状況などをヒアリングします。
その際、面談の目的を本人と共有し、話しやすい雰囲気をつくることが重要です。面談は一度きりではなく定期的に実施し、必要に応じて主治医の意見書提出も依頼しながら、長期的なフォローにつなげましょう。定期的な面談を継続することで、社員の状態や課題がより深く見えてきます。
具体的にどんな質問をすれば適切な支援につながるのかは、以下のページで詳しく紹介しているので、参考にしてください。
■上司が精神・発達障害がある社員との1on1ミーティングで聞き取るべきこと
今後の働き方を決める
面談やヒアリングで得た情報をもとに、今後の働き方を本人と一緒に方針を決めましょう。社員の希望や意向を尊重しつつ、主治医や産業医など専門家の意見も踏まえて検討することがポイントです。
たとえば業務量を調整したり、勤務時間を変更したりといった対応策が考えられます。主治医の見解は勤務継続の可否や必要な配慮を判断する基本情報になるため、欠かさず確認します。企業としては、合理的配慮を提供しつつも事業への影響とのバランスを考え、どこまで対応できるか整理することも大切です。
また、必要に応じてハローワークや障害者就業・生活支援センターのジョブコーチなど、外部専門家の助言を得るのも有効でしょう。今後の働き方の合意ができたら、内容を書面などで共有し、次回の面談日程も設定して継続的にフォローしていきます。
障害者雇用で休みがちな社員にしてはいけない対応

休みがちな社員に対して、企業が誤った対応をすると状況が悪化したり周囲の士気にも影響します。
ここでは、欠勤が多い社員に対して避けるべき対応を確認します。
欠勤を放置し、状況把握を怠る
頻繁な欠勤を放置し、社員の現状を把握しないのは避けるべき対応です。何度も休む社員がいても何も声をかけなかったり原因を確認しなかったりすると、本人は孤立感を深め適切な支援の機会を逃します。また、周囲の社員も穴埋めに追われ疲弊してしまう恐れがあります。
場合によっては、社員の体調が悪化し長期休職や退職につながるリスクもあります。欠勤が続く場合は、理由や状況をヒアリングし、必要に応じての対策が重要です。障害のある社員が希望を持って働き続けるには、企業が迅速かつ正確に状況を把握し対応することが大切です。
無理な出勤や残業の強制
体調やコンディションが整っていない社員に対し、無理に出勤させたり残業を強制したりするのも厳禁です。障害による体調不良や不安がある中で無理をさせると、症状が悪化してさらなる長期欠勤につながる可能性があります。
結果的に本人の生産性も下がり、周囲にもフォローの負担がかかるだけで、長期的に見てマイナスです。むしろ必要な休養を確保し、コンディションを整えられるよう支援する方が、早期の戦力復帰につながります。
とくに精神・発達障害のある社員に対しては、コンディションの波を無視した過度の勤務強要は避けましょう。法律上も企業には安全配慮義務があり、障害のある社員に対しては合理的配慮の提供も責務です。社員が安心して働けるよう、体調に応じた勤務時間や業務量の調整を優先することが重要です。
感情的な叱責や過度なプレッシャー
休みがちなことを理由に感情的に叱責したり、「休むな」「もっと頑張れ」と過度なプレッシャーをかけることも避けましょう。障害のある社員は周囲の言動に敏感なケースが多く、強い叱責は恐怖心を与えてしまい、かえって出勤意欲を低下させてしまいます。
周囲が怒っているのを見ただけで自分も叱られるのではと不安になる人もいるほどです。感情的な対応はパワーハラスメントにもなりかねず、信頼関係を損ないます。注意や指導が必要な場合でも、冷静な言葉遣いで事実を伝え、改善策を一緒に考える建設的なフィードバックに留めましょう。
業務量や役割が本人の適性に合っていないまま続けさせる
社員の業務量や担当業務が、本人の適性に合っていない状態を放置し続けるのも問題です。適性とは本人のスキルや得意分野、興味に加え、体力や認知特性などを踏まえた業務との適合度を指します。もし業務が本人にとって過度な負担や苦手分野ばかりであれば、ストレスとなり欠勤の一因になる可能性があります。
業務量や役割が本人の適性に合っているかどうかを見極めるのは、現場では容易ではありません。そのため管理者は、日頃から社員の業務遂行状況を観察し、定期的な面談を通じて適性とのズレがないか確認することが重要です。障害者雇用では配置できる職務が限られる場合もありますが、本人の能力や希望から大きく離れた業務になっていないかを見直すことが、長期的な定着につながります。
仕事を通じて成長や達成感を得られない状態が続くと、働く意欲が減退してしまいます。合っていない業務を無理に続けさせるのではなく、仕事内容や役割の調整・変更を検討しましょう。
そもそも障害者雇用の社員が休みがちになる3つの理由

障害のある社員が休みがちになる主な理由は、以下のとおりです。
- 業務内容と業務量が本人の適性と一致していない
- 人間関係・コミュニケーション面の不安がある
- 障害特性による体調変動・疲労の蓄積がある
業務内容と業務量が本人の適性と一致していない
担当業務の内容や量が本人の適性・能力と合っていない場合、負担となり欠勤が増えることがあります。たとえば、細かな事務作業が極端に苦手な方にその業務を集中して任せると、苦痛が強まり、出社自体が負担になる可能性があります。
また、業務が単調すぎてやりがいを感じられない、逆に難易度が高すぎて達成感が得られないと、モチベーションは低下します。障害者雇用では配置職種が限定されやすいため、本人の希望と異なる業務に就いているケースも少なくありません。
このような状態が続くと、成長実感や自己効力感を得にくく、働く意味を感じられなくなってしまいます。企業としては、障害特性や得意・不得意を踏まえて業務内容を見直し、適材適所の配置を行うことが欠かせません。
人間関係・コミュニケーション面の不安がある
職場での人間関係やコミュニケーションに不安がある場合も、出勤が滞る原因になります。障害のある方の中には周囲の言動や表情に敏感な人も多く、孤立感や理解されていないという感覚が強まると、出社への心理的ハードルが高くなります。
評価されていないと感じたり、困っていても相談できなかったりする環境が続くと、不安が積み重なり欠勤につながりやすくなります。本人の不安を軽減するためには、社内のコミュニケーションの壁を下げる工夫が欠かせません。
上司や同僚が気軽に声をかける雰囲気づくりや、障害特性への理解促進、相談しやすい体制の整備などが有効です。職場全体で適切な配慮と評価が行われ、安心して働ける環境をつくることが重要です。
障害特性による体調変動・疲労の蓄積がある
障害特性が原因で体調に波が生じたり、疲労が蓄積しやすくなるケースもあります。たとえば発達障害のある方は、集中力のコントロールが難しく、過集中によって心身のエネルギーを一気に消耗したり、逆に注意が散りやすく通常より早く疲れが出やすいことがあります。
また、双極性障害(躁うつ病)など気分障害の場合、症状として体調や気分に周期的な変動があり、うつ状態では思うように体が動かず、出社が難しくなるでしょう。こうしたコンディションの変動は、本人の努力だけでは調整が難しい特性に根ざしているため、周囲の理解と無理のない働き方が重要です。
企業としても、体調の波に応じて業務量を調整したり、柔軟な勤務形態や休暇制度を活用できる環境を整えたりしましょう。本人が安心して働き続けられるよう、特性に応じた支援と配慮を行うことが求められます。
無理なく働ける環境整備は何をすべき?

休みがちな状態を防ぎ、障害のある社員が無理なく働き続けられる職場環境を整えることが何より重要です。ここでは、企業側で取り組むべき対策をまとめます。
なお、発達障害の疑いがある部下を上手にマネジメントする方法や、精神障害者への対応の仕方をパターン別に解説した関連記事も参考にしてください。
欠勤時の連絡方法と対応手順をはっきり決めておく
欠勤が必要になった際の連絡方法や社内対応の手順は、事前に明確に決めておくことが重要です。
決めておくべき具体的な内容は以下の通りです。
| 本人が行う連絡方法 | ・当日朝〇時までに上司へ連絡(電話・メールなど手段を明記)・連絡内容の基準(欠勤理由・当日の体調・復帰見込み)・電話が難しい場合の代替手段(メール、家族からの連絡など) |
| 企業側の初動対応 | ・連絡を受けたら社員の安全を確認する ・必要に応じて医療機関の受診を案内 ・勤怠システムへの記録など社内手続きを行う |
ルールが明確であれば、本人が「連絡しづらい」「どう伝えればよいかわからない」と悩む負担を軽減できます。また、連絡が滞ると周囲の不安も大きくなるため、双方が安心できる取り決めをあらかじめ用意しておくことが大切です。
仕事内容と量を見直し、無理のないスケジュールにする
社員の業務内容やボリュームが負担過多になっていないか、定期的に見直すことが重要です。本人との対話を通じて「仕事量が多すぎないか」「締切がタイトすぎないか」など実感を確認し、必要に応じて以下のような調整を行います。
- 定期的に業務量のヒアリングを行う
- 業務の一部を他メンバーと分担して負荷を軽減する
- 納期が厳しい場合はスケジュールを再調整し、タイトな締切を避ける
- 休息を確保できるよう、無理のない作業計画を一緒に立てる
とくに精神的・身体的な不調を抱える社員に対しては、症状の波や再発リスクを考慮し、業務量を抑えた働き方が望ましいとされています。本人の希望や体調の状況を踏まえつつ、企業として合理的な配慮の一環として業務量の調整を行うことが重要です。
勤務時間・日数・在宅など柔軟に働ける選択肢をつくる
勤務時間や日数、在宅など柔軟に働ける選択肢をつくるなど、体調や状況に応じて勤務形態を調整できる仕組みを整えておくことが重要です。
以下のような、選択肢を用意しておくと本人も無理なく働けます。
- 時短勤務や短時間正社員で勤務時間を調整する
- 週3〜4日勤務など、勤務日数の変更を可能にする
- 業務に応じて在宅勤務を併用する
- フレックスタイム制など柔軟な制度を活用可能にする
勤務形態の調整は、本人の希望だけでなく主治医の意見も踏まえて決めることが大切です。無理にフルタイム勤務を続けさせて体調を再度悪化させてしまうと、安全配慮義務違反となる可能性もあります。リスクを防ぐためにも、勤務時間や働き方の柔軟な仕組みを整えておきましょう。
悩みを相談しやすい窓口や連絡手段を整える
社員が困ったときに気軽に相談できる窓口や連絡手段を整えておくことは、ミスマッチや不調の早期発見に効果的です。社内に相談先が明確にあるだけで、社員は一人で抱え込まなくてよいという安心感を得られます。
まずは、以下のような具体的な相談ルートを準備しておきましょう。
- 人事部内に障害者雇用の相談窓口を設置する
- 産業カウンセラーや外部相談窓口と契約しておく
- メール・チャットなど複数の連絡手段を用意する
- 緊急時の相談フロー(誰に・どう連絡するか)を明確にする
また、障害者を5名以上雇用する事業所では「障害者職業生活相談員」の選任が義務付けられており、職業生活上の悩みに対応できる体制を整える必要があります。
社内だけで解決が難しい場合は、産業医、障害者職業センター、社会福祉協議会、ジョブコーチなど外部支援機関との連携も検討しましょう。さらに、相談しやすい環境づくりには日常的なコミュニケーションの設計も重要です。
精神・発達障害のある方が安心して相談できる職場にするための具体策は、以下の記事で詳しく紹介しています。
■精神・発達障害の方が相談しやすい職場環境をつくるための2つのポイント
適切に評価し、フィードバックする仕組みをつくる
障害のある社員に対しては、成果や努力を適切に評価し、建設的なフィードバックを行う仕組みを整えることが大切です。休みがちな状況だけを取り上げて注意するのではなく、本人の取り組みや達成度を客観的に見て、公正に扱う必要があります。
評価体制を整える際は、次のポイントを押さえておきましょう。
- 業務目標を明確にし、期待する成果を事前に共有する
- できたことは具体的に評価し、事実に基づいて伝える
- できなかった点は責めるのではなく、一緒に改善策を検討する
- 定期的なフィードバック面談を設け、成長を確認する機会をつくる
障害があることを理由に評価を甘くしたり曖昧にしたりすると、本人の成長機会を奪うだけでなく、周囲に不公平感が生まれます。また、企業は障害を理由に不当に低い評価をしてはならないと法律で定められているため、公正な基準に基づく評価は必須です。
障害者雇用で休みがちな社員に関するよくある質問

最後に、障害者雇用の現場で休みがちな社員に関するよくある質問を紹介します。
欠勤を理由に減給はできる?
欠勤控除は可能ですが、懲戒としての減給は厳しい条件を満たす場合にのみ認められます。
欠勤した日の賃金を支給しない「欠勤控除」は、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき認められています。
一方で、懲戒処分として給与を減らす「減給」を行うには以下の要件が必要です。
- 就業規則に懲戒事由として欠勤が明記されていること
- 注意・指導を重ねても改善が見られないこと
- 労働基準法91条の減給上限(1回=平均賃金の半日分以下、月総額=10%以内)を守ること
なお、障害のある社員だけ特別に減給できるというルールはなく、健常者の場合と同じ扱いです。
欠勤が多い社員に配置転換はできる?
休みが多い社員に配置転換は可能です。ただし、欠勤の原因改善を目的とする場合に限り適切です。人間関係や業務負荷など、欠勤の背景に改善可能な要因がある場合は、本人の希望や適性を踏まえて部署変更を検討します。
障害のある社員の場合も、合理的配慮としての職務変更は可能ですが、同意を得ずに進めることは避けましょう。必要に応じて産業医やジョブコーチにも相談しながら判断することが望ましいです。
どれくらい欠勤が続いたら解雇できる?
欠勤日数だけで解雇はできません。解雇は合理的な理由と、社会通念上の相当性がある場合に限られます。正当な理由のない欠勤が長期間続き、指導や懲戒を行っても改善しない場合に、解雇が検討されることがあります。
目安として出勤率8割未満が継続すると業務に支障が出るケースが多いとされます。ただし、障害を理由とした解雇は禁止されており、企業は合理的配慮・業務調整・休職制度の活用など、取り得る対応を尽くした上で判断する必要があります。最終的な解雇は、就業規則に沿って専門家と相談しながら慎重に行ってください。
休みがちな状況を防ぎ、働き続けられる職場をつくろう

障害のある社員が休みがちな状況に陥ってしまうと、本人にとっても職場にとっても大きな損失です。休みがちになる前に適切な対応と環境整備で未然に防ぎ、誰もが安心して働き続けられる職場を目指しましょう。
もし、社員の欠勤対応や働き方の調整について判断に迷う場合は、専門機関を活用することでより適切な対応が可能になります。Kaienでは、障害特性に応じた業務設計や職場定着に関する相談を受け付けており、企業の状況に合わせて実務的なアドバイスを提供しています。
よりよい職場づくりを進めたい企業の方は、無料相談フォームから気軽にお問い合わせください。
ご相談は無料です、まずは気軽にご連絡ください