支給額が通常の1.5倍 | 特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)をわかりやすく解説

特定求職者雇用開発助成金にはいくつかのコースが存在します。障害者雇用で一般的に活用されることが多い「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」は認知が広がっていますが、「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」と比較して1.5倍の支給額がある「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)」については、あまりご存じではない方が多いのではないでしょうか。

特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)には、2つのメニューがあります。一つは【成長分野】、二つ目は【人材育成】です。

分類対象となるケース助成の範囲
成長分野就職困難者を継続して雇用する労働者として雇い入れ、職場定着に取り組む場合採用に対する助成
人材育成就職が困難な方を採用し、人材育成を行い、賃金を引き上げる場合採用および訓練に対する助成

本記事では障害者雇用のご担当者様向けに、特に適用を検討されることが多いと想定される「成長分野」について要点を絞り、制度の内容や支給額、対象となるケースの説明に加え、2023年4月からの要件変更についても、わかりやすく解説します。

目次

特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)の支給額

特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)は、高年齢者や障害者、就職氷河期世代など、就職がしづらい方を雇用し、デジタル・グリーン分野及びこれに関連する分野(成長分野等)の業務に従事させる事業主を支援する目的で2022年4月(令和4年度)に新設されました。

支給額は対象労働者の類型と企業規模に応じて1人あたりの支給額が変わりますが、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)と比較していずれの場合も1.5倍の支給額となっています。

■ 短時間労働者以外の場合
対象労働者支給額助成対象期間支給対象期ごとの支給額
高年齢者(60歳以上)
母子家庭の母等
就職氷河期世代の者
生活保護受給者等 等
90万円
(75万円)
1年
(1年)
45万円 × 2期
(37.5万円 × 2期)
身体・知的障害者
発達障害者
難治性疾患患者
180万円
(75万円)
2年
(1年)
45万円 × 4期
(37.5万円 × 2期)
重度障害者等(※1)360万円
(150万円)
3年
(1年6か月)
60万円 × 6期
(50万円× 3期)
■ 短時間労働(※2)の場合
対象労働者支給額助成対象期間支給対象期ごとの支給額
高年齢者(60歳以上)
母子家庭の母等
生活保護受給者等  等
60万円
(45万円)
1年
(1年)
30万円 × 2期
(22.5万円 × 2期)
障害者
発達障害者
難治性疾患患者
120万円
(45万円)
2年
(1年)
30万円 × 4期
(22.5万円 × 2期)

( )内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。

※1「重度障害者等」とは、重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者及び精神障害者をいいます。
※2「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である者をいいます。

発達障害者の場合は障害者手帳の有無により支給額が異なる

発達障害の取り扱いについて少しわかりにくいので補足します。

短時間労働者以外の場合の対象労働者の区分に「発達障害者」という記載がありますが、これは具体的には「障害者手帳を所持していない方であって、発達障害の診断を受けている方」を指します。障害者手帳を所持している発達障害者は、年齢や障害者手帳の等級に関わらず「重度障害者等」の区分に含まれます。

どのような場合に支給対象となるのか

支給対象となる要件は以下の4点です。

  • ➀対象労働者種別に対応する特定求職者雇用開発助成金の他のコースの支給要件をすべて満たしていること。
  • ➁対象労働者を次の「成長分野」の業務に従事させること。
  • ➂対象労働者に対して、雇用管理改善または職業能力開発に関する取り組みを行うこと。
  • ➃上記➁➂について報告書を提出すること。

具体的にどのような業務が「成長分野」にあたるのかを、以下の表にまとめました

分野対象となる業務内容の例対象とならない業務内容の例
デジタル分野・ソフトウェア開発技術者
・プログラマー
・テストエンジニア
・データサイエンティスト
・社内ITヘルプデスク
・セキュリティエキスパート(脆弱性診断)など
・PCキッティング
・ホームページ更新係
・ユーザーサポートの電話受付係
グリーン分野脱炭素・低炭素化などに関する、
・大学や企業での研究開発
・農林畜産関係の技術者
・化学製品開発技術者など
・脱炭素・低炭素化など以外の研究開発
・学校等の教員
・特許調査
・新商品の企画・開発に関する事務

なお、少しでも成長分野等の業務を行えばよい、少しでも要素が入っていればよいというものではなく、対象労働者が従事する業務の主たる部分が成長分野の業務に該当するといえる必要があります。

最終的にその業務が助成の対象となるかどうかは、助成金の申請後に助成金事務センターが求人票や雇用契約書などにより判断し支給の有無を決定します。

2023年4月(令和5年度)からの要件変更の内容

特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)は、2023年4月に要件変更があり、以下の2点について対象範囲が限定されています。令和5年4月1日以降に採用する方について、新たな要件が適用されますので、ご注意ください。

➀ 業務内容の対象範囲が「専門的業務」に限定された

要件変更前は、成長分野(デジタル、グリーン)の業務の従事する方のうち、生産工程の業務、販売の業務、運送の業務なども含めて対象となっていましたが、変更後は上記に挙げたような「専門的業務」に対象範囲が限定されました。

➁ 対象の労働者が「未経験者」に限定された

見直し前は「経験者」も対象とされていましたが、見直し後は「未経験者」のみが対象となります(経験1年未満の職種も、未経験職種として取り扱います)。

原則として、ハローワークや民間の職業紹介事業者が、求人内容と職業相談の内容を踏まえ「未経験職種への就職を希望する方」として職業紹介を行うかどうかを判断し、それをもって要件に当てはまるかどうかを判断することとなります。

申請にあたってのその他の注意事項

申請にあたっては、以下のことについて特にご注意ください。

期間に定めがある雇用は対象外

これについては、成長分野等人材確保・育成コースに限らず、その他のコースでも共通することですが、採用の雇用形態は「正規雇用」、「無期雇用」、「有期雇用(自動更新※ )」として採用する方が対象となります。「対象労働者が望む限り更新できる契約」の場合のみ助成対象となります。勤務成績等により更新の有無を判断する場合等は助成対象となりませんのでご注意ください。

申請にかかる報告は負担が少し増える

成長分野等人材確保・育成コースの申請にあたっては、各コース共通の支給申請の手続きに加え、「実施結果報告書」を作成・提出する必要があります。

実施結果報告書では、雇用管理改善または職業能力開発について行った内容を報告するとともに、「取組内容・実施状況」や「取組内容について所感・効果」についての記述欄があります。

支給申請には期限がある

こちらもすべてのコースに共通していることですが、助成金の支給は原則6ヶ月間の「期」ごとに支給され、毎期ごとに支給申請の手続きが必要となります。

支給申請の期間は、各支給対象期の末日の翌日から「2か月以内」です。支給期限を過ぎてしまうと遡及した支払いは行われませんので、忘れずに申請を行うようにしてください。

出典・参考ページ

厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)」

【2022年最新版】デジタル領域における発達障害人材の活用事例まとめ

参考:IT人材が多数登録する障害者雇用人材紹介サービス

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