【2022年最新版】デジタル領域における発達障害人材の活用事例まとめ

障害者雇用や就労支援に携わっている方であれば、「発達障害のある方の中にはPC操作やプログラミングの能力に長けている方が多い」ということを、一度は耳にされたことがおありなのではないでしょうか。

昨今は法定雇用率の遵守と、人材不足が著しいデジタル人材の確保という、2点の課題を同時に解決する手段として、発達障害人材の雇用に関心を持つ企業が増えているようです。

実際に、IT業界や様々な産業において企業がASD(自閉スペクトラム症)やADHDといった発達障害のある方を雇用し、デジタル分野で活用する動きが加速しています。本記事では2022年現在、国内の「IT領域における発達障害人材の活用」先進事例をまとめてご紹介します。これからIT領域で障害者雇用をすすめていきたいとお考えの企業様のご参考となれば幸いです。

分類IT業務に活かせる特性
ASD(自閉スペクトラム症)細部へのこだわり、論理的思考、集中力の高さ
ADHD(注意欠如・多動症)新しいことへのチャレンジ精神の高さ、変化への対応力
分類別IT業界に活かせる特性一覧

アプリのテスト・デバッグ業務(Yahoo! Japan)

2017年から、外部業者に委託していた「Yahoo!ショッピング」のモバイルアプリのリリース前のテストを、障害者雇用により内製化。経験・能力に応じて、テストケースの修正や、報告された不具合の再現手順の確認、画面構成図の作成などを行っています。

①集中力の高さ、②飽きない持続性、③自分の理解に忠実に行動し、手を抜かずズルもしない、④正確性の高さ、⑤良い意味で細かい点を気にして深掘りする探究力の高さなど、随所に発達障害の特性が活かされており、「アプリテストの専門業者が見つけられなかった不具合を発見することができた」などの成果が報告されています。

参考ページ:Yahoo! JAPAN の雇用事例

アノテーション(メルカリ)

AIが正しく動作するために、判断の基準となるための”教師データ”のインプットを行う「アノテーション業務」で、障害者雇用の人材が活躍している事例が数多く報告されています。

国内最大規模のフリマアプリを運営するメルカリでは、「AI出品」をはじめとして、ユーザーがより快適にサービスを利用するために、様々な部分でAIの技術が活用されています。これらのAI技術を活用した機能の開発段階で、「一つの作業に集中して取り組むことが得意」という発達障害の強みが活かされています。

参考ページ:発達障害に理解ある企業 インタビュー「メルカリ」

Webアプリ開発(日揮パラレルテクノロジーズ)

日揮ホールディングスの特例子会社、日揮パラレルテクノロジーズでは、高度なITスキルを持つプログラマーが、既存システムの刷新から、小規模かつ多様なアプリケーションの開発まで、幅広いIT開発を行っています。

ポイントは「緊急度低/重要度高」の業務を受注すること。日揮グループ各社は全体的にIT人材は人手不足の傾向があり、ぜひとも手を付けたい仕事ではあるけれども、本社の人手不足や予算不足の都合で後回しになっている「緊急度低/重要度高」案件に特化することで、障害特性による苦手な部分と折り合いをつけながら、高度なスキルを要する単価の高い業務を提供し、グループへの貢献度を高めることに成功しています。

サイバーセキュリティ(デジタルハーツプラス)

ゲーム・モバイル・スマートフォン・Webサイトなどのデバッグを手掛けるデジタルハーツの特例子会社、デジタルハーツプラスでは、サイバーセキュリティ事業で、能力に凸凹がある人材を育成・活用しています。

あらゆるものがインターネットにつながるIoT時代。プログラムの不具合を見つけ出すために必要なのは、突飛な発想力やとことん没頭し原因を突き詰めていける集中力。でもこういった特性のある方は、あらゆる業務に対して平均点以上を求める日本の多くの企業では、雇用されにくいのが現状です(株式会社デジタルハーツプラス 代表取締役社長 畑田康二郎氏)

同社のサイバーセキュリティ育成プログラムを受けた社員の中から、国際的なセキュリティ資格であるCEH(EC-Council Certified Ethical Hacker)や国家資格である情報処理安全確保支援士を取得する人材が複数生まれています。

経済産業省もIT領域における発達障害人材の活用を後押し

政府も本腰を入れて動き始めています。経済産業省は、日本の産業全体の喫緊の課題である「IT領域における産業人材の不足」を背景に、2021年よりIT領域における発達障害人材の積極活用を推奨する「ニューロダイバーシティ推進事業」をスタートしています。

IT人材不足は今後ますます深刻化。2030年には、45万人前後の人材不足が推計されている。(出典:経済産業省)

イノベーション創出や生産性向上を促すダイバーシティ経営は、少子高齢化が進む我が国における就労人口の維持のみならず、企業の競争力強化の観点からも不可欠であり、さらなる推進が求められています。この観点から、一定の配慮や支援を提供することで「発達障害のある方に、その特性を活かして自社の戦力となっていただく」ことを目的としたニューロダイバーシティへの取組みは、大いに注目すべき成長戦略として近年関心が高まっております。この概念をさらに発信し、発達障害のある人が持つ特性(発達特性)を活かし活躍いただける社会を目指します。(経済産業省 「ニューロダイバーシティの推進について」より抜粋)

参考ページ:

ニューロダイバーシティとは

適切な環境が整いさえすれば、事業の戦力として活躍できる人材がたくさいんいる

発達障害のある方々の強みは、本記事で事例として紹介した、デジタル領域に限ったことではありません。例えば高い語学力を活かした翻訳業務、各種媒体のデザイン業務、化学分析など、多様なスキルや専門性を持った人材が多くいます。

しかし、秀でた強みがあるにも関わらず、面接の苦手さ、コミュニケーションの困難などにより、そのスキルを活かす機会に恵まれないニューロダイバーシティ人材がまだ全国に多くいます。これらの人材の多様性を理解し、積極的に活用することは、企業の成長を後押しするであろうことは疑いがないものでしょう。

マイナーリーグ
強み・専門性を活かす障害者雇用求人サイト「マイナーリーグ」には6,000人以上のニューロダイバーシティ人材が会員登録している
 「ニューロダイバーシティ人材活用」導入を検討する企業様向けの説明会を開催

Kaienは民間企業の立場から、経済産業省のニューロダイバーシティ推進事業に参画しています。これから新たにニューロダイバーシティ人材の活用をしたいと考えている企業への人材マッチングやコンサルティングサービスの提供を通じて、ニューロダイバーシティの普及に努めています。

より戦力となる障害者雇用の実践や、新たなダイバーシティ施策としてニューロダイバーシティ活用にご関心がある企業様はぜひ、以下の説明会にご参加ください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

経産省推進事業「ニューロダイバーシティ人材活用」 導入支援プラン説明会

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