【人事向け】ヘルプマーク対象者と企業での活用事例

電車や街中など、日常生活においてヘルプマークをつけている方を目にする機会が増えているのではないでしょうか。

ヘルプマークは見た目だけではわかりにくくても、身体的・精神的な要因により日常生活におけるサポートや助けが必要な場面があることを、周囲の人に知ってもらうためのサインです。

本記事では、ヘルプマークの基礎知識やヘルプカードとの違い、職場におけるヘルプマークの活用事例などについて解説します。ヘルプマークについて理解を深め、誰もが働きやすい職場環境づくりに向けた取り組みを考えていきましょう。

ヘルプマークとは?

画像:東京都福祉保健局

「ヘルプマーク」とは、援助や配慮を必要としている人が、そのことを周囲に知らせることができるマークのことです。身体的・精神的な障害を持つ人は、外見だけではわかりにくいものの、日常生活の中で助けやサポートが必要な場面がある人も少なくありません。

そうした場合に、障害のある人や慢性疾患や持病などを持つ人へ、配慮や支援が行き届かないことを防ぐことを目的として作られました。

最近では、発達障害当事者協会とメーカーが共同開発した「ヘルプマーク」がデザインされたリストバンドも登場しています。災害時の避難や職場、認知症の人への対応といったさまざまな用途での活用が期待されています。

ヘルプマークの対象者

ヘルプマークの対象者について、以下のように説明されています。

ヘルプマークの対象者は、義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていて、配布を希望する方々です。 しかしながら、身体機能等に特に基準を設けているわけではありません。ヘルプマークの配布に当たっては、必要な都民の方々が円滑にマークを活用することができることに配慮し、特に書類等の提示は必要なく、お申し出に対しお渡しすることとしています。

引用元:東京都福祉保健局

上記をまとめると、以下のような人がヘルプマークの対象となります。

  • 心疾患や人工肛門などの内部疾患がある人
  • 人工関節や義足を使用している人
  • 内部障害や難病の人
  • 妊娠初期の人
  • 精神障害や知的障害、発達障害などのある人

ヘルプマークを取得するために満たすべき身体機能の基準などは特にないため、医師の診断書や証明書などの提示不要で受け取ることが可能です。

ヘルプカードとヘルプマークの違い

ヘルプマークと似たものに「ヘルプカード」があります。両者はいずれも周囲からの支援や助けを必要とする人への理解や支援を促すためのものですが、違いもあります。それぞれの特徴をまとめた以下表をご参照ください。

ヘルプマークヘルプカード
目的援助や配慮を必要としている人が、周囲に知らせることができるマーク対象者が、災害時や日常生活で困ったときに、周囲の人へ支援・助け求めるためのカード
使い方・カバンなど目に付きやすい箇所に装着する
・貼付シールに緊急連絡先や支援内容、必要なタイミングなどを記入
・緊急連絡先、必要な支援内容などをあらかじめ記入
・外出時に持参する

ヘルプカードには、障害のある人や持病、難病のある人などが、災害時や日常生活の中で困ったときに、適切な対処や治療を受けられるように配慮を求める目的があります。

ヘルプカードを所持している人から助けを求める提示があった場合には、カードに記載されている内容に沿って支援を行いましょう。

ヘルプマークについて職場でできること

ここで、ヘルプマークに関する取り組みを社内で実践している事例を紹介します。

  • 社内で「ヘルプマーク」を周知する
  • 「ヘルプマークバッジ」を作成する
  • 「ヘルプマーク」のポスターを展示する

社内で「ヘルプマーク」を周知する

商業施設のビルメンテナンス業務を中心に受託している株式会社三越伊勢丹アイムファシリティーズでは、サービスマニュアル内でヘルプマークについて記載されています。

マニュアルは、来店者が安全かつ快適に過ごせる環境を確保すること、また施設で働く従業員に対する周知を行う目的で作られたものです。へルプマークを身につけている人を見かけた際に取るべき具体的な応対方法を紹介しており、組織全体で実践に努めています。

参考元:助け合いのしるし ヘルプマーク | 様々な取組 | 株式会社三越伊勢丹アイムファシリティーズ

「ヘルプマークバッジ」を作成する

タリーズコーヒージャパン株式会社では、障害を持つ人を採用する際、特性や症状に応じて担当する仕事を細分化する配慮を行っています。その中には、「ヘルプマークバッジ」の作成と運用が含まれます。

ヘルプマークバッジは、対象となる従業員が装着するアイテムで、作業の邪魔にならないサイズで作られています。

食器の回収やゴミ袋の交換など、お客様と接する場面で「急に声をかけられて戸惑ってしまう」「とっさの一言が出てこない」など、お客様に誤解を与えてしまうケースがありました。そこで、バッジを付けることで、お客様にも周知してもらいやすい環境を整え、障害者雇用への理解促進を図っています。

参考元:助け合いのしるし ヘルプマーク | 様々な取組 | タリーズコーヒージャパン株式会社

「ヘルプマーク」のポスターを展示する

株式会社電通では、例年12月の人権週間に合わせて、人権ポスター展と写真展を本社ビルにて開催しています。人権啓発を目的としたこのイベントでは、人権の尊重に関するさまざまなポスターが展示されます。

2014年の展示では、電通制作のポスターや美大生とのコラボレーション作品に並び、ヘルプマークを紹介する2点のポスターも掲示されました。

ビル1階のエントランスという大勢の人が行き来する場所で、ヘルプマークをアピールし、少しでも多くの人に理解を深めてもらうために継続的な取り組みを続けています。

参考元:電通 人権週間にてポスター展示

まとめ

ヘルプマークは、外見だけではわからなくても、障害や病気などのある人が周囲の人に配慮や支援を必要としていると知らせることで、必要な支援を得やすくするために作られました。

ヘルプマークの対象となる基準は特になく、必要な人であれば誰でも取得し活用することが可能です。都立病院や東京都心身障害者福祉センターの他、東京都営地下鉄の各駅などでも入手でき、2022年3月末時点で約46.5万個が配布されています。

障害者雇用や現場業務の円滑化に向けて、ヘルプマークを活用している企業も見られます。この機会にヘルプマークについて理解を深め、職場における有効な活用方法を検討し、誰もが快適に働ける環境づくりを目指しましょう。

この記事を書いた人

大野順平

株式会社Kaien 就労支援事業部 法人サービス担当
ゼネラルマネージャー / シニアディレクター

2014年Kaien入社。採用支援、定着支援、社内啓発など、これまで20社以上の精神・発達障害人材の雇用推進プロジェクトに参画。

論文寄稿 :

月刊精神科「就労支援におけるneurodiversity」(2023年9月,科学評論社)

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