障害者を指導する上司・先輩におすすめの研修や資格まとめ

Q&A「はじめて障害者雇用の支援・指導に携わります。おすすめの研修や資格があれば教えてください」

「はじめて自分たちの部署に障害のある人を新たに受け入れることになった」、「社内の配置転換があり、未経験ながら障害者雇用の担当をすることになった」。そのような状況で、専門的な知識もなく、トレーニングを受けたこともないので、障害のある方とどのように接したらよいのか分からずに不安だと感じる方も多いのではないでしょうか?

体系的の知識を学ぶ機会や、トレーニングを受けることは、受け入れ側が安心して迎え入れ、障害のある方に活躍してもらうための体制を整えることに役立つことでしょう。本記事では、障害のある方とともに働いたり、支援・指導を行うことになった方々におすすめの資格や研修をピックアップし、まとめてお伝えしていきます。

障害者職業生活相談員資格認定講習

「障害者職業生活相談員資格認定講習」は、民間企業等で障害者職業生活相談員として選任される方などに向けた技術講習です。高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の各都道府県支部が毎年行っています。

障害者職業生活相談員とは

障害者職業生活相談員は、職務内容や職場環境の整備など、障害者に対してざまざまな指導や相談業務をする役割を担う従業員です。5人以上の障害のある労働者を雇用する事業所では、「障害者の雇用の促進等に関する法律」により、相談員の資格のある従業員の中から障害者職業生活相談員を選任し、職業生活全般における相談・指導を行うよう義務づけられています。

障害者職業生活相談員の専任を受けるためには、障害者の方の相談業務に関する一定の実務経験が必要ですが、「障害者職業生活相談員資格認定講習」を受けることで、実務経験がない方でも障害者職業生活相談員になることができます。

「障害者職業生活相談員資格認定講習」の対象者は?申込方法は?

本講習では、障害に関する理解や、障害者雇用制度の理解、労務管理、カウンセリングなど、相談業務に必要な基礎知識を、2日間にわたり学ぶことができます。受講料は無料で、受講者にはテキスト、その他の資料を無償で提供されます。

受講は定員制となっており、受講の必要性によって優先順位が決まっています。専任義務がある(障害者雇用の人数が5名以上)事業所の受講者が優先となりますが、席に余裕がある場合は、まだ専任義務が発生していない事業所(障害者雇用の人数が5名に満たない)の方も受講することができます。

実施日程や申込方法は、高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページにてご確認いただけます。

参考:JEED「障害者職業生活相談員資格認定講習について」

精神・発達障害者しごとサポーター養成講座

精神・発達障害者しごとサポーター養成講座は、精神・発達障害者の同僚向けの、2時間程度の短時間講座です。

精神障害、発達障害についての基礎知識や一緒に働く上で必要な配慮などを学ぶことができます。出勤時や、業務時間中の声掛けの仕方など、場面ごとの接し方について、具体的なアドバイスを得られます。実践的ながら予備知識がない方にも分かりやすい内容となっているので、はじめて精神・発達障害のある方を職場に迎え入れる上司や同僚の方には、特におすすめの内容となっています。

開催形式には、都道府県労働局が日程や会場を設定し受講希望者をオープンで募集する「集合講座」のほか、企業単位のご要望で養成講座を開催する「出前講座」があります。申込・開催予定などの詳細については各都道府県の労働局がホームページ上に公開しています。ご関心がある方は以下URLからご確認ください。

参考:厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」

企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修

「企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修」は、職場適応援助者(ジョブコーチ)に必要となる専門的知識及び支援技術を修得するための研修カリキュラムです。

ジョブコーチを社内に配置することで助成金を取得できる「企業在籍型職場適応援助者助成金」

そもそもジョブコーチ制度とは、障害者の職場適応に課題がある場合に、ジョブコーチが障害特性を踏まえた専門的な支援を行い、障害者の職場適応を図ることを目的とした厚生労働省の障害者雇用支援事業の一つです。ジョブコーチにはいくつかの種類がありますが、同じ会社の同僚や上司がジョブコーチの役割を担う場合は「企業在籍型ジョブコーチ」という区分となります。

すべてのカリキュラムを受講した方を「企業在籍型職場適応援助者」として配置し、所定の手続きを行うことで「企業在籍型職場適応援助促進助成金」を受給することができます。特例子会社など複数名をまとめて管理し、専任で支援員・指導員を配置する場合には、ノウハウの獲得の機会として、また金銭的な助成を受ける意味でも効果的なので、ぜひ有効活用していただきたい制度のひとつです。

参考:JEED「企業在籍型職場適応援助者助成金について」

「企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修」の対象者は?申込方法は?

研修は、職業リハビリテーションの理論、職場適応援助者の役割についての講義、作業指導の演習などを学ぶ「集合研修」と企業での実習やケーススタディなど、地域の実情に即した「実技研修」の2部構成となっています。集合研修と実技研修あわせて8日間にわたる充実したカリキュラムとなっており、職業リハビリテーションの理論や職場適応援助者の役割についての講義、作業指導の演習などを体系的に学ぶことができます。

厚生労働省から委託を受け研修を行う機関は、大きく分けて「高齢・障害・求職者雇用支援機構」と「民間の研修機関」があります。高齢・障害・求職者雇用支援機構の開催する養成研修は無料で受講できますが、厚生労働大臣が指定する民間機関が実施する研修では受講料が発生しますので注意が必要です。

受講対象は、職場適応援助者助成金を活用した企業在籍型職場適応援助を予定している事業者に加え、助成金の活用の予定はなくとも実際の障害者の雇用管理務の担当者であれば受講が可能とされています。開催スケジュールや申込方法や以下のURLからご確認ください。

参考:厚生労働省「職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について」

忙しくて研修に参加する暇はないけど信頼性のある知識を学びたい場合は?

高齢・障害・求職者雇用支援機構が無料で配布している、障害者雇用に関する問題点の解消のためのノウハウや具体的な雇用事例を障害別にコミック形式でまとめたマニュアルがおすすめです。以下のページから無料ダウンロードが可能ですので、自宅や、空き時間を有効活用して知識を学びたい方はぜひご活用ください。

参考:JEED「障害者雇用マニュアル コミック版」

障害のある方と共に働く経験が少ない場合は、受け入れる側も不安を感じるかもしれません。しかし、障害者の雇用支援や指導を行うことは、決して特別に難しいことはありません。基礎的な知識さえ押さえておけば、一般の社員と同様のマネジメントや育成の手法が十分通用します。

特に、これから初めて障害のある方を迎え入れる事業所の皆さまは、公的な研修制度も利用しながら適切な知識を得て、新たに入社する障害のある社員はもちろんのこと、受入れ側も安心して迎え入れできるような準備を進めていただければ幸いです。


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