障害者雇用未達の罰則「企業名公表」 ペナルティ対象となる基準はありますか?

Q&A「障害者雇用未達の罰則『企業名公表』 ペナルティ対象となる基準はありますか?」

「障害者の雇用の促進等に関する法律」第47条では、障害者雇入れ計画の適正実施勧告を行ったにもかかわらず、障害者の雇用状況に改善が見られない場合は、企業名を公表することができるとされています。

障害者雇用に消極的な印象を与える、不名誉な企業名公表です。特にインターネットが普及した現代社会においては、会社経営にも大きな影響を及ぼしかねない厳しい制裁といえるでしょう。

本記事では、令和6年(2024年)12月に公表された「障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について」の報道発表の内容をもとに、企業名公表の制度や傾向についてお伝えします。企業名公表の制裁を受けないようにするための準備・対策に活かしていただけたら幸いです。

令和5年(2023年)は1社が社名公表

2023年6月の「企業名公表」では、1社の企業名が公表されました。企業名の公表は3年弱にわたる行政指導の経過に基づき判断されます。

過去の企業名公表の数は以下の通りです。

企業名公表の基準や流れを解説

雇入れ計画作成命令

企業名の公表に至るプロセスとしては、毎年6月1日に報告が義務付けられている障害者雇用状況報告(いわゆるロクイチ報告)の結果に基づき、雇用状況が一定の基準を満たさない企業に対して、ハローワークから障害者を雇い入れるための2年間にわたる「雇入れ計画作成命令」の提出が命じられます。

「雇入れ計画作成命令」の対象となる基準(以下のいずれかに該当する場合)
  • 実雇用率が最終年の前年の6月1日現在の全国平均実雇用率未満
  • 不足数が10人以上

特に注意したい点は、指導の対象となるかどうかは、その年度の「全国平均実雇用率」によりしきい値が変動するという点です。

■雇入れ計画の適正実施勧告

ハローワークは、計画1年目の12月の雇用状況をみて雇入れ計画が進んでいるかを確認します。雇入れ計画が実現されず、計画の実施を怠っていると判断された場合には、ハローワークから雇入れ計画の適正な実施を勧告される場合があります(障害者雇用促進法第46条6項)。

■特別指導(9ヶ月間)
更に計画を提出した2年経過した計画満了時において、雇用状況の改善が特に遅れている企業に対して、企業名公表を前提とした「特別指導(9ヶ月間)」が実施されます。それでもなお改善が見られない場合には、いよいよ企業名の公表となるのです。
一連の行政指導の起点となる「雇入れ計画作成命令」の対象となる基準は、厚生労働省により以下のとおり明確に示されています。法定雇用率を下回れば即、指導の対象となるわけではありません。指導対象となる基準をしっかりと押さえておくとよいでしょう。

■企業名の公表

特別指導を受けてもなお雇用率が達成できない企業については、厚生労働省のWebサイトにて、報道関係者へ向けてその企業名が公表されます。企業名公表後も指導は継続され、それでも改善が進まない場合には企業名が再公表となります。

企業名公表による企業側のリスク

■企業のイメージダウンにつながる
障害者雇用促進法に基づく障がい者雇用が達成できていないこと、その企業に対する障がい者雇用の細かな行政指導の状況も明らかに公表されます。行政から何度も指導を受けた上で改善ができなかった、社会的責任を果たせなかった企業として、取引先や従業員の家族など様々なステークホルダーの目に留まる可能性も十分あり、企業へ対する不信感につながりかねません
また、これからその企業と取引を始めようとする相手や就職を考えている人などが企業名をインターネットで検索し、その情報に触れてしまえば、企業にとって大きな損失に繋がる可能性もあります。

■インターネット上に情報が残る
企業名公表は、告示公開された厚生労働省のサイトだけではなく、SNSなどを通じてさまざまな媒体に残り続けることが予想されます。

安定した法定雇用率達成に必要なことはなにか?

一定の努力をしても採用・定着には至らなかった。その背景には障害者雇用の「売り手市場」があるでしょう。実雇用率の改善が示す通り、以前とは比べ物にならないくらいに多くの企業が法定雇用率を遵守するために積極的な採用活動を行っています。

特に本社機能が密集する東京都内は「障害者採用の激戦区」といっても過言ではないでしょう。ネームバリューがあり雇用が安定しているイメージがある大企業との採用競争をすることになる東京都内の中小企業は、勤務先として選んでもらうためにことさら積極的な努力が必要となります。

一たび行政指導の対象となれば、期限のある中での採用活動となります。ともすれば準備不足で強引な障害者雇用になりかねません。安定した障害者雇用には綿密な準備と計画性が不可欠です。法定雇用率は未達成ながら、まだ行政指導には至っていない企業様は特に、早いうちからの法定雇用率改善を自主的に進められることをお勧めいたします。

出典(いずれも厚生労働省):
障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について
令和6年障害者雇用状況の集計結果


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