【Excelテンプレートあり】自社の障害者雇用率の計算方法をわかりやすく解説します(2023年ロクイチ報告に対応

国は従業員が一定数以上の規模の事業主に対して、雇用している全ての従業員の一定割合以上の障害者の雇用を義務付けており、これを「法定雇用義務」といいます。

法定雇用義務を怠ると、不足する障害者数に応じた金額を納付する義務(障害者雇用納付金)が発生したり、ハローワークによる雇用率達成指導が行われます。特に、障害者雇入れ計画の適正実施勧告を行ったにもかかわらず、障害者の雇用状況に改善が見られない場合には、企業名を公表されてしまう場合があり、これは企業の経営にとってとても大きなペナルティとなります。

参考記事:障害者雇用未達の罰則「企業名公表」 ペナルティ対象となる基準はありますか?

自社の障害者雇用の状況が、法定雇用義務を満たしているかどうかの計算については、少し複雑なルールへの理解や、法改正へのキャッチアップが必要となります。本記事では、障害者の法定雇用を管理する立場の人事ご担当者様に向けて、最新の法改正情報も交えながら計算ルールをわかりやすくお伝えしていきます。

法定雇用率とは

まずは用語の解説です。

法定雇用率とは、障害のある人の雇用を促進するために民間企業や国などの事業主に義務づけられた、雇用しなければならない障害のある人の割合のことです。

細かい算出方法は理解する必要はありません。ただし法定雇用率は、原則5年周期で徐々に引き上げられるものとされており、年度によって異なる場合があることはしっかりと覚えておく必要があります。令和4年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)の民間企業における法定雇用率は2.3%です

令和4年度(2022年)時点の法定雇用率。民間企業は2.3%、特殊法人等は2.6%、国、地方公共団体は2.6%、都道府県等の教育委員会2.5%

なお、法定雇用率の引き上げ「5年周期」の次のタイミングは、令和5年度(2023年)です。本記事を公開した2022年11月現在で、雇用率引き上げの発表はまだありませんが、雇用率の管理にあたっては法定雇用率の情報は厚生労働省のウェブサイトから最新の情報を確認するようにしてください。

なお、業界によっては産業ごとの特性を鑑みて、法定雇用率が緩和される「除外率制度」が適用されます。一般的に障害者の就業が困難であると認められる業種があるとされていますが、こちらの制度は今後の運用が見直し縮小される見通しです。最新の情報は厚生労働省ホームページ又は、所轄のハローワークにお問い合わせいただくことをお勧めいたします。

参考:厚生労働省「除外率制度について」

自社の障害者雇用率(=実雇用率)の計算方法

障害者の雇用率(=実雇用率)は、自社が雇用する従業員全体のうち、障害者が占める割合です。計算式としては以下のように表されます。

実雇用率 = ①法廷雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数分の②障害者である常時雇用労働者の数

計算にあたり気を付けなければいけないことは、単純に雇用している従業員1名あたり1カウント換算ではない、ということです。週あたりの所定の労働時間や、障害種別や手帳の等級によってカウント方法が異なり、また法改正により計算ルールが変更になる場合があるということに注意が必要です。以下でそれぞれ解説をします。

■ 式の解説➀「法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数」

「法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数」とは、自社が雇用する常用労働者の総数です。

なお「常用労働者」とは1年を超えて雇用されている、または、1年を超えて雇用される見込みがあるものを言い、1年未満の短期雇用や、派遣会社との派遣契約に基づき職場で受け入れてる派遣社員は「常用労働者」には含まれません

また、常用雇用である短時間労働者(週の所定労働時間が20時間以上30時間未満)、つまりパートタイム契約などの短時間労働者の場合は1名あたり0.5カウントとして計算します。

■ 式の解説➁「障害者である常時雇用労働者の数」

「障害者である常時雇用労働者の数」とは、自社が雇用する常用労働者のうち、障害のある労働者の総数です。前述でも触れたとおり、カウント方法が場合により異なるので、計算の際には以下の2点に留意してください。

留意点1:いわゆる「ダブルカウント」

以下のケースに該当する場合は、雇用1名あたり2カウントの算定となります。

重度身体障害者:身体障害者のうち、身体障害者手帳の等級が「1級」「2級」および「3級以上の障害が2つ以上重複してある」場合
重度知的障害者:療育手帳の区分が「A」の場合

精神障害・発達障害のある方が持つ「精神障害者保健福祉手帳」には、ダブルカウントはありません。各種助成金の申請においては精神障害・発達障害の方も「重度」として取り扱われる場合があるため、しばしば混同し誤解されるのでご注意ください。

留意点2:短時間雇用の取り扱い

「法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数」と同様に、所定労働時間が週30時間以上の従業員は1名あたり1ポイント。所定労働時間が週20時間以上30時間未満の精神障害の方は、原則として1名あたり0.5ポイントという計算となります。

ただし、この数年で期間限定の特例措置や、法改正の議論が進んでいるため、上記に記載した計算ルールは流動的です。詳しくは以下リンク先の記事をご参照ください。2023年のロクイチ報告にあたっては、最新の情報を必ずチェックするようにしてください。

参考記事:【随時更新】最新の法改正に対応! 精神障害者の短時間労働 法定雇用率算定はどう変わる?

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以上のとおり、実雇用率の計算は少し複雑で、雇用する人数が多くなれば管理が煩雑となります。
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ダウンロードはこちら →【Excelテンプレート】障害者の実雇用率計算シート(2023年ロクイチ報告対応)

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