うつ病により休職していた社員が復職して職場復帰、そのとき上司が取るべき対応は?

1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヵ月以上休業する人の割合は、労働者全体の0.4%にあたるといわれています(出典:厚生労働省の平成30年「労働安全衛生調査」)。事業所単位でみると、1カ月以上休業した労働者がいる事業所の割合は8.8%とあり、管理職の方がメンタル不調の部下の休職・復職の対応を経験することは決して珍しいことではないといえます。

厚生労働省では、各事業場においてメンタルヘルスを推進していくうえでの必要な考え方を「労働者の心の健康の保持増進のための指針」にまとめ公表しています。

当該指針では「心の健康づくり計画」として、以下の3つの予防施策が示されています。

  • 1次予防:メンタルヘルス不調を未然に防止する
  • 2次予防:メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を行う
  • 3次予防:メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰を支援を行う

前回の記事では、3次予防に関連して「うつ病になってしまった部下から休職の申し出、そのとき上司がやるべき事は?」というテーマをとりあげましたが、今回はその続編として「復職時」をテーマに、上司が知っておくべき事や対応方法についてお伝えいたします。

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復職を迎えるにあたって知っておくべき事

➀復職の判断基準は?

前提として、休職していた社員が復職するかどうかの判断や手続きは、一般的には専門的な知識と経験がある人事や労務担当や産業保健スタッフが行うべきものです。ご本人と上司のみのやり取りで復職を判断することは大きなリスクが伴いますので、安易な判断は絶対に控えてください。

とはいえ、上司として復職を判断する基準は知っておくべき事のひとつであるので、ぜひ知識として理解しておくとよいでしょう。

厚生労働省が運営する働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、職場復帰を迎える際の3つのポイントが以下の通りまとめられています。

  1. 医学的に就業に耐える状態である
  2. 本人に職場復帰の意思があり、準備が整っている
  3. 職場側も職場復帰を支援する準備が整っている

特に注視したいのは1の「医学的に就業に耐える状態である」という点です。仮にご本人が職場復帰に前向きであったとしても、病状が良くなっているとも限りません。職場復帰後に再発してしまっては元も子もないので、客観的な医学の視点で、十分に回復することが出来ているかどうかの判断を仰ぐことが必須となります。

具体的には、本人から復職の移行があれば、事業者は労働者に対して主治医による職場復帰が可能という判断が記された診断書の提出を求めます。診断書を産業医など事業者の産業保健スタッフが精査した上で復職の可否を判断することとなります。

復職支援のサポート体制(出典:厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復職支援の手引き」を参考にKaienが作成)

➁再休職の割合はどれくらい?

厚生労働省の研究事業の調査によると、うつ病で休職した社員のうち再度休職してしまう割合は、復職後6ヶ月以内で約20%、1年以内で約30%、5年以内になると約50%にも及ぶことが示されました。また、休職期間は、一回目より二回目の方が長くなる傾向がありました。(出典:主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究)

休職の対応にあたって、もっとも重要なことは「いかに再休職を防ぐか」です。

同研究では、「復職後2年間は、再発のリスクが高い時期」であり、業務内容や業務量等の配慮や、産業保健スタッフのケアなどが特に必要であるとされます。復職を迎え入れる上司は、出来る限りの業務内容や職場環境の整備を行い、再度休職とならないようにするための支援を行う重要な役割を担う存在といえるでしょう。

それでは次の章で、実際に職場復帰の際に上司に期待される具体的な役割について確認していきます。

復職復帰にあたり上司が行うべきこと

厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」によると、職場復帰後の上司(管理監督者)の役割として以下の2点が示されています。

  • 就業上の配慮、職場環境等の問題点の把握と改善
  • 職場復帰後の労働者の状態の観察

1の「就業上の配慮、職場環境等の問題点の把握と改善」を遂行する上で、具体的にどのようなことをすればよいのか、イメージが持ちづらいかもしれません。Kaienがこれまでに実施した職場支援の経験に基づく具体的な対応方法について記載します。

2の「職場復帰後の労働者の状態の観察」については、以下の記事を参考にして下さい。

参考記事:上司にぜひ気付いてほしい「いつもと違う」部下の様子 チェックリスト

➀業務の調整を行う

うつ病の回復には焦りは禁物です。数ヶ月のブランクを経て、復職後すぐに前と同じようなパフォーマンスを出すことは期待しないようにしましょう。再発のリスクが高い復職後の半年から1年は、「実際の業務を通じたリハビリ期間の延長」と捉えて、負荷がかからない業務調整を行うことをおすすめします。

業務調整の具体例
  • 時短勤務、あるいは残業を制限する
  • 納期が厳しい仕事や、作業が急変する仕事は避ける
  • 仕事を切り出す、作業を標準化する
  • 本人の適性に合った業務を中心に任せる
  • グループやペアで仕事を行う

➁周囲がサポートしやすい環境調整を行う

復職にあたっては、➀に挙げた業務の調整を実質的に支えることとなる周囲の同僚へのケア、心配りもきめ細かく行うようにしましょう。過度に周囲に負荷がかかってしまうことで職場の雰囲気が悪くなると、復職したご本人にもそれが伝わり心理的な負担となるでしょう。

そのようなことにならないよう、まずは一部の従業員に過度な業務負荷がかからないようにするための余裕ある人員配置、そして折に触れてサポートをしてくれることへ感謝を伝える、きめ細やかな声がけを行うことがポイントです。

職場の上司にあたる方には、ぜひ復職するご本人のみに限らず、ご本人を取り巻く「職場全体の同僚社員」にも広く目配りをお願いしたいところです。

コミュニケーションの機会を増やすことが早期発見のカギ

復職した社員も含め、うつ病などのメンタル不調を早期発見するためのコツはコミュニケーション機会を増やすことです。例えば、復職直後はいわば「浦島太郎状態」で、職場の変化に戸惑うこともあるでしょう。その時に「わからないことがあればなんでも聞いてね」という一声の声がけがあるかどうか、その積み重ねが職場環境を改善し、メンタル不調の社員を減らすことにつながるでしょう。

うつ病により休職した社員の職復帰は、見方を変えれば職場環境を改善する絶好のチャンスともいえます。近年注目が集まる「健康経営」と同様に、メンタル不調を減らすための施策は、同時に職場の生産性の向上にも直結するものです。

ぜひ本記事を参考にしていただき、職場環境の改善に活かしていただければ幸いです。

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