障害者雇用の受入体制を整えるために必要な準備とは?採用前に整えておくべきポイントも解説

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障害のある方が安心して働くためには、個人の頑張りだけでなく、企業側の受入体制を計画的に整えておくことが重要です。とくに、雇用条件の整理や業務の切り出し、合理的配慮の検討といった採用前の準備ができているかどうかは、その後の定着率や職場での活躍にも大きく影響します。

この記事では、採用前に整えておきたいポイントや、障害者雇用の受入体制を整えるために必要な準備について解説します。

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障害者雇用で採用前に整えておくべきポイント

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障害者採用を成功させるには、雇用条件の明確化や合理的配慮の検討など、事前準備が欠かせません。

ここでは、採用前に企業が整えておきたい以下のポイントを紹介します。

  1. 雇用条件・募集内容の明確化
  2. 合理的配慮事項・支援内容の仕組みを考えておく
  3. 選考フローの設計
  4. 面接担当者の準備

1.雇用条件・募集内容の明確化

障害者を募集する際には、求人情報に労働条件や仕事内容をできるだけ具体的かつ正確に示すことが大切です。以下の項目は、求人票に明記しておくと安心です。

  • 雇用形態:正社員/契約社員/パートなど
  • 勤務時間:始業・終業時刻、休憩、残業の有無
  • 給与:基本給、時給、昇給の有無
  • 勤務地:オフィスや在宅勤務の可否、業務上どの程度の移動(オフィス内の歩行・外出業務など)が必要か
  • 業務内容の詳細:具体的な作業、使用ツール、業務量
  • 必要なスキル:PC操作のレベル、事務経験の有無など
  • 配属部署の想定:チーム体制、業務フロー

また、障害者が適性を活かせるよう、配属部署や担当業務を事前に検討し、ミスマッチを防ぐ工夫も必要です。これにより、応募者は仕事内容を理解しやすくなり、採用後のトラブルを減らすことが期待できます。

さらに、募集開始前に受け入れ部署の社員にも障害者雇用の目的や業務内容を説明し、社内理解を深めておくと良いでしょう。

2.合理的配慮事項・支援内容の仕組みを考えておく

合理的配慮は法的義務であり、本人の申し出と企業との対話を通じて決めるのが基本です。採用面接での希望確認は第一歩ですが、大まかな方向性を共有するにとどまるのが一般的です。具体的な配慮内容は、実務が始まってから業務特性や働き方が見えてくることで、初めて詳細な検討ができるケースがほとんどです。

このため、採用後に定期的な対話の機会を設け、業務の進み具合や負担感を確認しながら合理的配慮を継続的に見直す仕組みを整えておく必要があります。単発で決めるのではなく、状況の変化に合わせて内容を更新できる体制をつくることで、働きやすさとミスマッチ防止につながります。

また、提供する合理的配慮内容を社内で共有する際は、本人のプライバシーに十分配慮し、どこまで伝えるか本人と合意したうえで運用することが大切です。

3.選考フローの設計

選考フローは、障害者に配慮した形で設計しましょう。書類選考や面接の基準は、職務に必要な能力をもとに公正に設定し、障害の有無に関わらず平等に評価できるよう準備します。

面接では、障害者の特性に応じた配慮が重要です。とくに、以下のような具体的な工夫を行うことで、応募者の緊張を和らげ、適切に能力を把握しやすくなります。

  • 聴覚障害のある応募者には筆談・手話通訳の準備
  • 発達・精神障害のある応募者にはゆっくり、明瞭な説明
  • こまめな休憩を挟むなど負担軽減の配慮
  • 質問内容は構造化してシンプルに説明

また、選考の段階では、働き方のイメージが持てるよう職場見学や体験的な機会を用意しておくと、応募者と企業の双方にとってミスマッチの防止につながります。

4.面接担当者の準備

障害者採用の面接を担当する社員は、事前に障害特性に関する正しい知識と、適切な面接対応方法を理解しておく必要があります。面接官が特性への理解を持つことで、応募者が安心して話せる環境をつくり、公平な評価につながります。

面接では、応募者が安心して働ける環境を整えるために、入社後の支援設計に必要な情報を丁寧に確認しましょう。とくに以下のような点は、採用後の業務設計にも関わるため重要です。

  • 障害の状況(特性・診断名・得意不得意の傾向)
  • 通院頻度や服薬状況
  • 必要な合理的配慮(音・光への過敏、指示の受け方など)
  • 周囲の支援者の有無(家族・支援機関・就労移行支援など)

採用後の業務を事前に設計することで、企業側は配属や業務量の調整、支援体制づくりを準備しやすくなります。また、社内に障害者雇用の経験が少ない場合は、外部の専門家に相談したり、必要に応じて面接に同席してもらったりすることも有効です。

当社でも、障害者雇用の選考設計や面接同席などのサポートを行っているので、「自社だけでは判断が難しい」と感じる場合はお気軽にご相談ください。

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障害者雇用の受入体制を整えるために必要な準備

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障害のある社員が安心して能力を発揮するには、受入体制の整備が不可欠です。ここでは、職場で働きやすい環境や支援体制を構築するために必要な準備項目を解説します。

  1. 業務の進め方の整備
  2. 働きやすい職場環境の整備
  3. コミュニケーション・人間関係の体制整備
  4. 健康管理・勤務管理の整備
  5. 育成・評価制度の整備

「どこから準備すればよいのか分からない」という企業様向けに、採用前の計画づくりを整理した記事もあるので、あわせて確認しておくとスムーズです。

障害者雇用のはじめの一歩「計画と方向性」を立てるコツ

1.業務の進め方の整備

障害のある社員が能力を発揮するには、仕事の割り振りや手順の整備が重要です。以下では、具体的な準備項目を説明します。

  • 担当業務の明確化
  • 作業手順のマニュアル作成
  • 報告・相談ルートの明確化
  • サポート体制の設置

担当業務の明確化

障害のある社員に任せる業務は、採用前の段階であらかじめ具体的に整理しておきましょう。どの部署でどの作業を切り出すのかを検討し、無理なく取り組めて、かつやりがいを感じられる仕事内容を候補として準備しておくことが大切です。

複数の業務候補をリスト化しておけば、入社後に本人の特性や得意分野を確認しながら、より適した業務を割り当てやすくなり、ミスマッチの防止にもつながります。また、オープンポジション(職務を特定しない募集)という方法もありますが、求人段階で業務内容をある程度明示しておくほうが、応募者からのエントリーを得やすくなります。

作業手順のマニュアル作成

業務の流れや作業手順は、事前にマニュアルや指示書としてまとめておきましょう。視覚的に確認できる資料があると、障害のある社員は落ち着いて作業に取り組みやすくなり、ミスの防止にもつながります。

とくに発達障害のある方は、口頭説明だけでは情報を理解しにくいこともあるため、文章や図で手順を示すことが合理的配慮として有効です。完璧なマニュアルである必要はなく、まずは基本の流れをまとめ、入社後に本人と相談しながら改善していけば十分です。

報告・相談ルートの明確化

障害のある社員が困りごとをスムーズに相談できるよう、直属の上司や人事担当者などの相談窓口を明確にして周知しておきましょう。加えて、週1回ほどの定期的なコミュニケーションの機会を設けておくと、日頃から相談しやすい関係づくりに役立ちます。

とくに発達障害・精神障害のある方の場合、「忙しそうで声をかけづらい」「相談のタイミングがつかめない」という状況が起こりがちです。そのため、毎週決まった時間に10分程度の1on1ミーティングを固定枠として設けると、些細な困りごとも拾いやすくなります。

また、毎日の体調や気分を簡単に記入する健康チェックシートなどを導入すると、不調の兆しを早期に発見しやすく、声かけやフォローにつなげられます。より具体的な取り組みは、以下の記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。

精神・発達障害の方が相談しやすい職場環境をつくるための2つのポイント

サポート体制の設置

障害のある社員を支えるためには、社内でのサポート体制をあらかじめ整えておくことが大切です。担当者1人に負担が集中しないよう、先輩社員からメンター役を指名したり、人事担当者と連携するチーム体制を作ったりしておくと、安定した支援がしやすくなります。

また、定期的な面談を実施し以下の点を適宜確認しましょう。

  • 職場環境に不安がないか
  • 必要な配慮が行われているか
  • 業務への満足度はどうか

社内だけでは対応が難しい場合は、ジョブコーチなど外部の専門家に助言を求めることも有効です。こうした複数のサポートルートを用意しておくことで、社員が安心して働き続けられる環境づくりにつながります。

2.働きやすい職場環境の整備

障害のある社員が本来の力を発揮するには、仕事内容の調整だけでなく働く環境を整えることも欠かせません。とくに、物理的な環境や設備が整っていない場合、どれだけ本人が努力してもパフォーマンスが発揮しづらく、ストレスや不安、早期離職につながることがあります。

以下では、具体的な環境整備について説明します。

  • 座席の位置や周りの環境の工夫
  • 安全に働ける環境の確保

座席の位置や周りの環境の工夫

職場のレイアウトを整えることで、障害のある社員が働きやすい環境をつくれます。たとえば、聴覚障害のある社員には雑音の少ない静かな席を用意する、視覚障害のある社員には移動しやすい通路沿いの席を配置するなど、特性に応じた配慮が有効です。

また、発達障害などで感覚過敏がある場合は、デスクにパーティションを設置する、イヤーマフやサングラスの使用を認めるといった刺激を抑える工夫が役立ちます。

職場のレイアウトなどの環境調整は、生産性の向上だけでなく、ストレスの軽減にもつながります。発達障害のある社員への具体的な環境整備例については、以下の記事も参考にしてください。

発達障害の方が活躍しやすい環境を整えるためにオフィスを新設

安全に働ける環境の確保

障害のある社員が安心して業務に取り組むためには、職場の安全性を高め、事故やトラブルを未然に防ぐ環境づくりが重要です。障害の種類によって必要な配慮が異なるため、以下のようにポイントを整理しながら整備を進めていきましょう。

項目安全に働けるための主な配慮例
車いす利用者通路の確保(物を置かない)・トイレや出入口のバリアフリー化・作業台の高さ調整
視覚障害点字シールや音声案内装置の設置・画面読み上げソフトや拡大読書機の準備
聴覚障害社内放送の文字情報提供や筆談用ホワイトボードの用意・必要に応じて手話通訳者の手配
知的障害危険物(刃物・薬品等)は手の届く範囲に置かない・立入禁止エリアを言葉でわかりやすく明示・手順説明を繰り返し行う
精神・発達障害頻繁な部署異動を避け、環境変化のストレスを最小化・音、光の刺激が少ないエリアで働けるよう調整・必要に応じて業務負荷を段階的に調整

上記のような安全配慮は、一度整えれば終わりではなく、実際の勤務状況に応じて見直していくことが大切です。働く中で新しい困りごとが出てくることもあるため、定期的に本人や周囲の社員と情報を共有しながら、必要な改善を重ねていくとより安心して働ける環境を維持できます。

3.コミュニケーション・人間関係の体制整備

障害のある社員が安心して働き続けるためには、業務環境だけでなく、日常のコミュニケーションや人間関係のサポート体制を整えておく必要があります。

とくに精神・発達障害のある方の場合、職場での相談のしやすさや関係構築のしやすさが定着に直結するケースも多いです。そのため、誰に・どのように相談すればよいのかを明確にし、困りごとを早期に相談できる仕組みを用意しておくことが重要です。

また、同じ部署で働く同僚や上司が障害について正しく理解しているかどうかも、安心して働けるかどうかを左右します。合理的配慮の共有方法や研修など、組織全体で支えるための体制を準備しておきましょう。

以下では、それぞれの取り組みについて詳しく解説します。

  • 相談できる担当者(メンター)の設定
  • 障害理解研修の実施
  • 合理的配慮事項の共有方法の統一

相談できる担当者(メンター)の設定

障害のある社員が職場で孤立せず、安心して働くためには、相談役となるメンターやトレーナーをあらかじめ決めておくことが重要です。日常業務で困りごとがあった際に、気軽に相談できる先輩社員や上司がいるだけで、問題の早期発見・解決につながります。

直属の上司がメンターを兼ねる場合でも、多忙で不在が多いことを想定し、サブの担当者をもう一人設置しておくと、支援が途切れにくく安心です。また、定期的に1on1ミーティングの時間を確保し、業務状況や体調についてヒアリングする場を設けることも効果的です。

どのような質問で状況を正しく把握できるのか、具体的なポイントを知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

上司が精神・発達障害がある社員との1on1ミーティングで聞き取るべきこと

障害理解研修の実施

障害者を受け入れる部署のメンバーには、障害特性や合理的配慮に関する理解を深める研修を行うのが重要です。研修では、障害者雇用に関わる法律や考え方を押さえ、現場で役立つ知識を伝えましょう。

研修内容の一例は以下のとおりです。

  • 障害者雇用に関する法制度(雇用義務・差別禁止・合理的配慮とは何か)
  • 特性ごとのコミュニケーションの留意点
  • 職場で必要となる合理的配慮の実例(環境調整・指示の出し方など)

研修内容の基礎理解に加えて、日々のコミュニケーションで気をつけるポイントや、困りごとが起きた際の社内相談ルートの再確認など、実務に直結する内容も取り入れるとより効果的です。

合理的配慮事項の共有方法の統一

合理的配慮を現場で適切に行うには、関係者が内容を正しく理解し、同じ基準で対応できるよう、事前に共有ルールを決めておく必要があります。ただし、合理的配慮の内容を詳しく伝えすぎるとプライバシーに関わるため、共有範囲は本人の同意を得たうえで慎重に決める必要があります。

共有方法としては、以下のような工夫が考えられます。

  • 本人の了承を得た範囲で、朝礼やミーティング時に要点を簡潔に説明
  • 関係者が閲覧できる共有メモを作成し必要な情報を簡潔に記載

共有方法を統一しておくことで、誰もが同じ認識のもとで合理的配慮を実行でき、現場でのサポート品質が安定します。

4.健康管理・勤務管理の整備

障害のある社員が安定して働き続けるためには、業務内容だけでなく健康状態に合わせた勤務管理を行うことが不可欠です。とくに、精神・発達障害や慢性的な疾患がある場合は、体調の波や通院・服薬との両立を丁寧にサポートする必要があります。

また、体調変化に早めに気付ける仕組みを導入しておくと、悪化を防ぎやすく、本人も安心して仕事に向き合えるようになります。

以下では、健康管理と勤務管理の具体的なポイントを解説します。

  • 通院や服薬を考慮した勤務調整
  • 休憩・短時間勤務など柔軟な勤務調整
  • 体調変化を把握する仕組み

通院や服薬を考慮した勤務調整

障害のある社員の通院予定や服薬スケジュールを踏まえ、無理のない勤務時間・勤務日を設定しておくことが大切です。継続的な通院が必要な場合は、事前にスケジュールを共有してもらい、業務と両立しやすい形で調整します。

たとえば、次のような工夫が考えられます。

  • 毎月の特定日や半日を、事前に調整し通院時間とする
  • 朝の服薬後に体調が安定しやすい時間帯に合わせて始業時刻をずらす
  • 通院日は在宅勤務や時間単位有給を併用して負担を軽くする

勤務調整の配慮により、治療と仕事の両立がしやすくなり、結果として安定した勤務と長期的な定着にもつながります。

休憩・短時間勤務など柔軟な勤務調整

障害特性や体調の波に合わせて働けるよう、勤務時間や休憩の取り方に柔軟性を持たせることが大切です。たとえば、始業・終業時刻を前後にずらせる勤務形態や、体調に応じて短時間勤務を選択できる仕組みがあると、無理なく働き続けやすくなります。

また、小休憩を細かく挟めるようにするなど、日中の負担を軽減できる工夫も有効です。こうした調整は過度な疲労を防ぎ、安定した勤務につながります。

体調変化を把握する仕組み

障害のある社員の体調の変化に早く気付くためには、毎日のコンディションを簡単に確認できる仕組み作りが有効です。たとえば、毎朝の睡眠時間や服薬状況、その日の体調を健康チェックシートに記入してもらうことで、普段との違いを早期に察知しやすくなります。

同じ項目を毎日続けて確認することで、「最近ずっと睡眠が浅い」「今日は元気がなさそう」といった変化を早めに把握できます。様子に変化がある場合は、上司が声をかけたり、業務量を調整したりといったフォローにつなげることが可能です。本人だけに管理を任せず、周囲も状況を共有しながら見守れる仕組みを用意しておくことで、不調の兆候を早い段階でつかみ、働き続けやすい環境づくりにつながります。

5.育成・評価制度の整備

障害のある社員が長く働き、力を発揮し続けるためには、日々の支援だけでなく、育成計画や評価制度の仕組みを整えておくことも大切です。とくに、業務習得のペースや得意・不得意には個人差が大きいため、一人ひとりに合わせた成長ステップや指導方法を用意しておくことで、着実なスキル習得と定着につながります。

以下では、育成計画や研修の進め方、評価の考え方について詳しく説明します。

  • スモールステップの目標設定
  • 研修や教え方の流れを設定
  • 本人の特性を踏まえた評価制度の整備

スモールステップの目標設定

障害のある社員には、達成しやすい小さな目標を積み重ねながら成長できるよう、段階的な目標設定を行いましょう。いきなり大きなゴールを求めるのではなく、まずは安定した出勤や基本業務の習得といった達成しやすいステップから始めると、成功体験を積みやすく、モチベーションの維持にもつながります。

また、上司と本人で定期的に進捗を振り返り、状況に応じて目標を柔軟に調整していくことで、無理なく成長できる環境を整えられます。

研修や教え方の流れを設定

障害のある社員が安心して業務を覚えられるよう、研修や指導の進め方をあらかじめ整理しておきましょう。入社後は、職場のルールや仕事内容、利用できる支援制度などを丁寧に説明し、スムーズに職場に慣れていけるようサポートします。

現場では、業務中に質問できる担当者を決めておき、作業の手順を1つずつ確認しながら進められる体制を用意します。難しい業務は、最初は簡単な作業から始め、慣れてきたら少しずつ任せる内容を増やしていくと理解が深まりやすくなります。必要なスキルが不足している場合には、研修や練習の機会を設けて補強することも大切です。

本人の特性を踏まえた評価制度の整備

障害のある社員が意欲を持って働き続けるためには、評価制度にも工夫が必要です。従来の数値評価だけでなく、本人の特性や努力の過程も適切に評価できる仕組みを整えることが重要です。

たとえば、以下のような観点を評価に含めると、社員のモチベーション向上につながります。

  • 目標に向けてどのように取り組んだか(指示待ちではなく主体的に動けたか、工夫が見られたか)
  • 日々の小さな成長や改善(ミスの減少、作業スピードの安定、報連相の質向上)
  • 本人の特性に合わせた課題への取り組み(苦手な工程を段階的にクリアできたか、支援の活用が上手くなったか)

より具体的な事例については、以下の記事も参考にしてください。

障害者雇用の「量」から「質」へ~設立15年目の特例子会社が今取り組む、アセスメントと人材育成~

障害者雇用の受入体制を整える際の課題

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最後に、障害者雇用の受入体制づくりに伴う主な課題について押さえておきましょう。体制を整えるには時間やコストがかかるほか、社内の理解不足や業務ミスマッチによる離職など、いくつかの懸念点があります。

ここでは以下の課題について解説します。

  • 体制づくりにおける時間的・費用的コスト
  • 現場での理解不足や意思疎通の難しさ
  • 業務ミスマッチによる早期離職リスク
  • 手続きや法令対応の複雑さ

受入体制の課題をより深く理解し、効果的な対策を検討したい方は、以下の記事も参考にしてください。

障害者雇用を実施する企業が抱える4つの課題と解決策をわかりやすく解説

体制づくりにおける時間的・費用的コスト

障害者の受入体制を整えるには、一定の時間とコストがかかります。たとえば、バリアフリー化や設備の準備には費用が発生し、社員研修や制度見直しにも時間と労力を割く必要があります。

初めて取り組む企業では、情報収集や計画づくりに手間取り、何から進めれば良いか迷うケースも少なくありません。また、採用前の段階でも、業務の切り出しや配属部署の調整、面接担当者の準備など、多くのリソースが必要になります。

準備が不足したまま採用を進めると、入社後にトラブルが発生し、結果的に離職対応や再採用にさらにコストがかかってしまう可能性があります。一方で、国や自治体の助成金を活用すれば初期負担を抑えられるため、体制整備は短期的なコストではなく長期的な投資と捉えて進めることが重要です。

現場での理解不足や意思疎通の難しさ

受入体制が整っていても、現場の社員が障害への理解を十分に持っていなければ、協働がスムーズに進まないことがあります。知識不足があると、必要以上に遠慮してしまったり、逆に無意識に配慮を欠いた対応をしてしまったりと、コミュニケーションのズレが生じやすくなります。

また、障害のある本人が対人関係の不安やコミュニケーションの苦手意識から相談をためらうケースも多く、困っていても言い出せないことで問題が深刻化してしまうことがあります。そのため、障害理解研修の実施や定期面談の設定など、相互理解を深める取り組みが欠かせません。

業務ミスマッチによる早期離職リスク

採用時の情報共有が不十分だと、入社後に「想像と違う」「自分には難しい」と感じやすく、業務負担が大きくなって早期離職につながるリスクがあります。とくに精神・発達障害のある方は、業務内容や職場環境とのミスマッチが定着率に影響しやすい傾向があります。

そのため、採用前にインターンシップや職場見学を実施し、仕事内容や働く環境の理解を深めてもらうことが有効です。採用後も、定期的な面談を通じて不安や負担を早めに把握し、業務内容やサポート体制を適宜見直す必要があります。

企業側も、入社直後から無理に戦力化を急がず、段階的に業務範囲を広げる姿勢を持つことで、ミスマッチを防ぎながら長期的な定着につなげることができます。

インターンシップや実習は、ミスマッチの防止に特に効果的な取り組みです。実施にあたって押さえておきたい具体的なポイントは、以下のページで詳しく解説しています。

【ノウハウ】障害者雇用の職場実習を成功させるための3つのポイント

手続きや法令対応の複雑さ

障害者雇用には、法令に基づく手続きや社内整備が多く、初めて取り組む企業にとって負担になりやすい側面があります。とくに、提出期限のある書類や、法令に合わせた社内体制の整備は、担当者にとって把握しづらい部分です。

以下は、企業が対応すべき主な事項の例です。

項目内容負担ポイント
障害者雇用状況報告書毎年提出が必要提出期限が決まっており、ミスが許されない
障害者雇入れ計画書数年単位の採用計画を策定中長期の採用戦略が必要
社内方針の整備差別禁止、合理的配慮の方針を明文化法律理解が必須
相談窓口の設置ハラスメント・差別の相談体制担当者の役割整理が必要
助成金申請設備投資や雇用に関する補助金手続きが煩雑で専門性が高い

企業が対応すべき手続きは複雑に見えますが、社会保険労務士や障害者雇用支援機関のサポートを活用することで、負担を抑えながら確実に進めることができます。

受入体制を整えるほど定着率が安定する

画像;2人のビジネスパーソンが握手をしている写真

障害者雇用の受入体制は、一度整えれば終わりではなく、運用しながら改善していくことが大切です。最初から完璧を目指す必要はありませんが、採用後のフォローや環境調整を積み重ねていくことで、社員の安心感や働きやすさが高まります。

結果、企業にとっても長期的に活躍してくれる人材を育てやすくなり、離職率の低下や職場全体の活性化にもつながります。自社だけでの対応が難しい場合は、専門家のサポートを活用することで受入体制づくりをよりスムーズに進めることができます。実際に多くの企業が外部支援を取り入れながら定着率改善に成功しています。

受入体制の整備や配慮事項の整理、採用・定着支援の相談をご希望の企業様は、以下のページからお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した人

蟹江 美貴

株式会社Kaien 就労支援事業部 法人向けサービス担当
ブリッジコンサルタント

国際線CAやビジネスマナー講師を経て、EAP機関・ハローワーク・大手IT企業・メンタルクリニック等で、カウンセリングや研修業務に従事。多様な対人支援の現場を経験し、現在は主に障害者雇用の企業常駐支援(※)に取り組んでいる。
モットーは「障害者雇用は、マネジメントの原点を見つめ直す機会。誰もが活躍できる未来を、この一歩から。」

公認心理師/精神保健福祉士/2級キャリアコンサルティング技能士/
産業カウンセラー/SNSカウンセラー

企業常駐支援:専門スタッフが企業に常駐し、業務の切り出しから日々のマネジメントまで伴走支援します。Kaien独自のノウハウで、社員様が主体となって運営できる体制を構築し、「もめない・やめない・やすまない」障害者雇用を実現するサービスです。