障害者雇用は企業に求められる社会的な取り組みのひとつであり、多くの企業が積極的に施策を講じています。とはいえ、障害者雇用に関して社内にノウハウが少なく、どのように採用活動を進めればいいのか不安を感じている人事担当者も少なくないでしょう。
今回は、障害者雇用における基本的な選考の流れや書類選考におけるポイントを解説します。
このページの目次
障害者雇用の採用選考で重要なこと
障害者雇用の採用選考といっても、一般枠の選考と大きな違いがあるわけではありません。
採用活動における選考とは、応募者の適性や能力に基づいて、職務を適正に遂行できるかどうかを判断するためのものです。障害者雇用においても一般枠採用と同様に、応募者の適性や能力を基準として、保有スキルやポテンシャルを自社でどのように活かせるか、職務におけるミッションを達成し会社に貢献できるかなどを公正に判断します。
つまり「障害によって何ができないか」など懸念点を探し出すのではなく、「自社でどのような活躍が可能か」といったポジティブな視点で選考を進めることが大切です。
参考:公正な採用選考の基本|厚生労働省
障害者雇用の選考期間とプロセス
障害者雇用における書類選考から内定までの平均的な選考期間は約1ヶ月程度です。基本的な進め方は、一般的な採用プロセスと大きな違いはありません。
<採用プロセスの例>
- 会社説明会
- 書類選考
- 1次面接
- 結果連絡
- 実習と最終面接
- 内定
一般枠の採用でも同様ですが、実習や職場見学を取り入れると、早期離職の防止効果が見込めます。障害者雇用は一般雇用に比べても定着率が低いため、職務を実際に体験する機会を設けて入社後のイメージをすり合わせ、ギャップを低減しておくことが大切です。
職場実習については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
障害者雇用の書類選考で確認したい3つのポイント
障害者雇用における早期離職の原因の大半は、健康管理や日常生活の管理不足になっています。そのため、書類選考でもこれらの点に注目しながら選考を進めることが重要です。具体的には、次の3つのポイントを意識しましょう。
就労準備が整っているか
最も重要なポイントは、障害の状態や健康状態が、自社が想定している働き方や業務内容に耐えうるかを見極めることです。中には自己判断で就職活動を行ってしまう人もいるため、安定就労が可能な状態かどうか、書類から見極める視点が求められます。
具体的には、通院頻度や主治医からの就労許可、就労支援員の見解など、客観的な情報が記載されているかを確認しましょう。本人の意欲に関係なく、第三者視点で就労準備が整っているという裏付けがあると、安定就労の可能性が高まります。
ストレス耐性や対人関係スキルがあるか
職歴や勤続年数、過去の職務内容などを見ると、職場環境への適応能力やストレス耐性などを推し量ることができます。短期間で何度も離職を繰り返している場合、安定就労が難しい状況かもしれません。
過去に早期離職がある応募者でも、長期就労できている業務とそうでない業務がある場合は、職務適性に偏りがある可能性があります。入社後に任せる予定の業務に適性があるかどうかの判断材料になるでしょう。
また、就労移行支援事業所などでの訓練経験が書かれていることもありますので、書類上で職歴が不明な場合は書類選考の段階でご本人に問い合わせたり、面接で確認するとよいでしょう。
障害に関する説明と希望する配慮事項の記載があるか
就労において必要な配慮事項が具体的に書かれているということは、自身の障害を理解・受容できているということであり、安定就労に必要な準備が整っている可能性が高いです。配慮事項の記載がたくさん記載されているのを見たときに「対応すべきことが多く、大変そう」と感じるかもしれませんが、安定雇用と本人の活躍につながるヒントであると考え、ポジティブに捉えていただくことをおすすめします。
反対に、「配慮事項はありません」などと書かれている場合は障害への自己理解が不足していたり、障害の受容ができていない可能性があります。安定就労が可能な状態か、慎重な判断が必要です。
書類だけで読み取れない点は面接で確認を
ここまで書類選考におけるポイントを紹介しましたが、もちろん書類上から応募者の全てを読み取ることはできません。応募者が近くに居住している場合には、面接の機会を設けて書類上ではわからない情報を本人に直接確認することも大切です。
もちろん、面接を有意義なものにするためにも、履歴書や職歴書をよく読み込み、応募者への理解を深めておくべきでしょう。書類から推測した情報を元に、面接では応募者の実情を確認する流れで進めると、聞きたいポイントが明確になり、より詳しいエピソードを深掘りできます。
まとめ
障害者雇用の選考といっても、基本的に一般枠の採用と大きな違いはありません。就労における懸念を払拭しようと粗探しをするのではなく、応募者本人の適性や能力を基準に「自社でどのような活躍が可能か」といったポジティブな視点を持つことが大切です。
そのためにも、書類選考では障害に対して自己受容できており、就労準備が整っているかどうかをよく確認しましょう。選考全体を通して本人と認識をすり合わせ、双方が具体的な就労イメージを膨らませられるよう心がけてください。
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