精神科訪問看護とは?訪問看護との違いや人事担当者が知っておきたいことを紹介

自社の従業員が精神疾患を患った場合、精神科や心療内科を受診することが基本ですが、通院や服薬が難しいケースもあります。そのようなときに利用したいのが「精神科訪問看護」です。精神科訪問看護は、自宅で専門的なケアを行い、症状の改善を目指すサービスです。

本記事では、精神科訪問看護の概要や訪問看護との違い、具体的な支援内容や人事担当者が知っておきたいことを解説します。従業員が精神疾患を患った際の選択肢の1つになる情報ですので、ぜひお役立てください。

精神科訪問看護とは?

精神科訪問看護とは、統合失調症やうつ病などの精神疾患を持つ方や、精神的な問題により支援を求める方に対し、自宅訪問による看護ケアを提供する制度です。具体的には、看護師や作業療法士などが自宅を訪れ、患者に適したサポートを行います。

例えば、職場でのストレスでうつ病になった場合、日常生活に支障が出ることもあるでしょう。精神科訪問看護を利用し、専門的なケアを受けることにより、日々の生活に必要な支援を受け、症状が改善する可能性があります。

また、精神科訪問看護は「医療保険」もしくは「介護保険」が利用可能です。医療保険の訪問回数は週に3回以内が原則ですが、利用者や家族の希望、病状によって変化します。介護保険の場合は利用回数の制限はなく、ケアマネージャーのプランに基づいて利用できます。

このように、精神科訪問看護は、精神疾患を抱える方の心身の健康をサポートする重要な役割を果たしています。

訪問看護との違い

「精神科訪問看護」と「訪問看護」は、対象者や提供する看護の内容に違いがあります。具体的な違いは以下の表をご覧ください。

対象者看護の内容訪問者制度上の違い
訪問看護身体的な障害や疾病を持ち、自宅で療養しており、主治医が訪問看護が必要と認めた方清潔ケアなどの身体的な支援・看護が中心・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など・厚生労働省が定める「訪問看護基本療養費」によって費用を算定する
・訪問看護指示書が必要
精神科訪問看護精神疾患のある方全般や精神科などに通院している方、医師から支援が必要と判断された方などコミュニケーションや精神状態の観察など、精神的な支援・看護が中心・看護師・作業療法士・精神保健福祉・保健師など・厚生労働省が定める「精神科訪問看護基本療養費」によって費用を算定する
・精神科訪問看護指示書が必要
精神科訪問看護と訪問看護との違い

上記のように、訪問看護は主に「体のケア」を、精神科訪問看護は主に「心のケア」を行います。このような違いはあるものの、医師の判断が必要なことや、年齢に制限がないことなどは共通しています。

精神科訪問看護の対象者

精神科訪問看護の対象者は、大きく分けて2つに分けられます。1つ目は、精神疾患と診断された、もしくは精神科や心療内科に通院している方です。具体的な精神疾患には、アルコール依存症やうつ病、適応障害、統合失調症などが挙げられ、医師の診断により精神疾患が明らかになった方を指します。また、医師の診断に関わらず、通院している場合も対象となります。どちらにしても、医師の精神科訪問看護指示書が必要です。

2つ目は、精神疾患の診断が特定されていないものの、医師から何らかの支援が必要と判断された方です。これには、睡眠障害や自宅療養中の方も含まれます。例えば、ケガで自宅療養中に社会との接触が乏しく、孤立感を感じている方などです。

このように、精神疾患と診断された方はもちろん、通院中の方や医師からサポートが必要と判断された場合にも、精神科訪問看護の対象者となります。

精神科訪問看護の支援内容

ここからは、精神科訪問看護を利用した際の支援内容を解説します。具体的には以下の7つです。

  • バイタルサイン測定
  • 内服管理
  • セルフケア援助
  • コミュニケーション
  • 精神状態の観察
  • ご家族への支援や説明
  • 主治医や保健師、セラピストなどへの報告・連絡

それぞれ解説します。

バイタルサイン測定

精神科訪問看護の支援内容として、利用者の現状把握は重要な業務です。そのため、訪問時にはバイタルサインの測定を行い、心拍数や血圧などを通じて体調を確認します。このような数値化された情報は、治療方針の見直しや、利用者が自分の身体の微妙な変化を認識する助けになることがあります。

例えば、訪問看護師がバイタルサインを測定した結果、これまでのデータと比べて変化が見られた場合、現状の生活習慣や治療方針の見直しを行うなど、適切な対応が可能です。

内服管理

利用者の内服管理も精神科訪問看護の支援内容の1つです。精神科の処方薬は、利用者の精神状態に密接に関わりますが、利用者によっては自己管理が難しい場合があります。

例えば、必要な薬の内服が困難で、その結果として精神的に不安定になることがある利用者の場合、訪問看護師が利用者と話し合いながら内服管理のサポートを行うことで、薬を正しく服用できるようにします。

このように、内服管理は症状の抑制や改善に重要な支援といえるでしょう。

セルフケア援助

精神科訪問看護の支援内容には、身の回りの環境整理やセルフケアの援助も含まれます。これは、日常生活の中で自分の身だしなみや部屋の掃除、排便管理等の基本的な生活習慣が困難な利用者への支援です。

例えば、身だしなみを整えることが苦手な利用者がいた場合、訪問看護師は身だしなみのチェックを行い、習慣化する方法を一緒に考えます。また、健康状態の指標になる排便状況を確認し、必要に応じて排便管理の支援も行います。

このように、利用者のセルフケア能力を向上させ、生活環境を整えることも、精神科訪問看護の支援の1つです。

コミュニケーション

精神科訪問看護の支援には、コミュニケーションを通じた精神状態のチェックも含まれます。訪問看護師は日常会話を通じ、「いつもと違う反応」や「何かイライラしている様子」など、微妙な精神状態の変化を捉えることが可能です。

いつも明るい利用者が、少しイライラした様子で話すようになったとすると、訪問看護師はその変化に気づき、精神状態の変化を捉えることができます。コミュニケーションによって利用者の精神状態を把握し、適切な支援を提供することも精神科訪問看護の役割です。

精神状態の観察

利用者自身だけでなく、生活環境や家族との関わりから、精神状態を把握することも重要です。利用者の精神状態を理解するためには、その人が生活する環境の全体像を認識しなければなりません。

具体的には、利用者との対話だけでなく家族とも交流を行い、自宅の様子にも注目します。

すると、利用者がどのような環境で過ごしているのか、何に困っているのか、また何がストレスとなっているのかなどを理解し、それに基づいた適切な支援を行うことが可能です。

ご家族への支援や説明

精神科訪問看護の重要な支援内容として、利用者の家族への支援や説明も挙げられます。利用者の心の状態を最も理解しているのは、日々接している家族であることが多いからです。

例えば、家族が利用者の状態をよく理解していたとしても、ケアの内容について不安を抱えているかもしれません。訪問看護師が家族と会話を重ねて不安を共有することで、最適な支援策を導き出せる可能性があります。このように、家族への支援や説明は看護の一部であり、今後のサポート方針を明確にするための重要な手段です。

主治医や保健師、セラピストなどへの報告・連絡

精神科訪問看護の支援は、看護師が利用者をサポートするだけでなく、主治医や保健師、セラピストとの連携によるチーム医療が基本です。

訪問看護師は利用者の状態を観察し、その情報を主治医や他の専門家たちと共有します。そして、各専門家がそれぞれの専門性を活かすことで、利用者に最適なケアを提供できるようになります。訪問看護師は情報の中継役として、また全体を調整する役割を担い、支援の質を高めていくのです。

精神科訪問看護について知っておきたいこと

最後に、人事担当者として精神科訪問看護について知っておきたいことをご紹介します。

精神科訪問看護は、精神疾患を患ってしまった人への対応策の1つと認識しておいたほうが良いということです。精神疾患の疑いがある場合、まずは精神科や心療内科を受診することが大切ですが、通院が難しい場合や服薬が継続できない場合もあります。

そのようなときは、本人や家族へ精神科訪問看護を提案してみるとよいでしょう。通院や服薬、その他生活習慣の改善が難しい場合でも、精神科訪問看護の利用で必要な支援を受けられ、生活の質が向上する可能性があります。

人事担当者の方は、精神疾患への理解を深めるとともに、具体的な提案をする選択肢として、精神科訪問看護を認識しておくことが大切です。

まとめ

精神科訪問看護とは、精神疾患を持つ方の自宅に訪問し、必要なサポートを行うことを指します。主に心のケアを行い、精神疾患を持つ方を年齢の制限なく幅広く支援するサービスです。バイタルサイン測定や内服管理、家族への支援など、さまざまなサポートを行い、利用者の治療を行います。企業の人事担当者の方は、従業員が精神疾患を患った際の選択肢として認識しておきましょう。


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