発達障害者雇用の社内理解を促進するために伝えるべき3つのこと

Q&A「発達障害*者雇用の社内理解を促進するためにどんなことを伝えるべきですか?」

管理職や社員一人ひとりが障害者雇用に対して理解を深め正しい知識を得ること、いわゆる「障害者雇用の社内理解」は、企業が障害者雇用を推進するうえで、もっとも重要な事柄の一つだといえます。

しかし、十分な障害者雇用の経験を積む機会がなかったり、過去に障害者雇用で苦い経験がある場合には、雇用の推進に前向きになることが難しいことも多く、頭を悩ませている人事ご担当者様も少なくないのではないでしょうか。

障害者雇用への前向きな社内理解は、一朝一夕には作られません。人事担当者やダイバーシティ推進の担当者による社内全体への粘り強い働きかけが不可欠です。本記事では「発達障害の雇用を社内理解を促進するために伝えるべきこと」を3つのポイントに分けてお伝えします。ぜひ貴社の社内理解促進のためにご参考にして頂ければ幸いです。

1.発達障害の特性は人により大きく異なる

発達障害とは、脳の発達の偏り(脳の一部が未発達あるいは過剰発達)により生活上に困難が生じている状態の総称です。偏りがある脳の部位は人により千差万別なので、ひとことに発達障害といっても得意なことや苦手なことは、人により大きく異なっています。

そのため「発達障害の人は、〇〇という特徴がある」と、決めつけることは禁物です。発達障害のことを分かりやすく伝えるために「発達障害の方の多くに当てはまること」としていくつかの特徴を挙げている場合もありますが、それもすべての発達障害の方に当てはまるわけではありません。発達障害には多様な特徴があることを前提に、まずは「障害の分類などのフィルターで理解」しようとするのではなく、「その人自身を理解」しようと努めていただける姿勢をお勧めします。

参考ページ:大人の発達障害 職場での人物像

2.環境や仕事内容を柔軟に調整する

仕事でうまくいかないことが起こったときには、ついつい個人の適性や努力不足のせいにしてしまうことはありませんか? しかし発達障害の方をうまく活用することができている企業では、一律のルール・やり方を強いるのではなく、その方の特性に合わせて仕事のお願いの仕方や、任せる仕事内容、作業環境や業務手順などを柔軟に調整をすることでよりよい業務の成果を出すことができています。

何かがうまくいかないときはつい「努力が足りない」と断じてしまいがちです。しかし、多くの場合努力不足なのではありません。苦手なことだから、努力が成果に結びつきづらいのです。本人が成長・変化することを強く求めるのではなく、得意な部分が活きることを任せたり、成果が出やすい環境を整えることで、効率的に努力が実を結ぶ方法をご検討ください。

共に働く上司や同僚のみなさまには、ぜひ「叱咤激励する人」ではなく「うまくいく方法を一緒に考えてくれる人」という位置づけで接していただけることを期待したいところです。

参考ページ:発達障害 仕事がうまくいく 合理的配慮の求め方

3.特別扱いせずに戦力として期待をする

誰しも多かれ少なかれ、得意や苦手の凸凹はあるものです。決して発達障害のある人たちは、ご自分とは違う特別な存在ではありません。

障害者雇用でよく見られる失敗のひとつに「過度に気を遣いすぎて逆効果になってしまう」という事例があります。障害者雇用のメンバーに負担をかけまいと、上司や同僚が仕事を巻き取ってやることが、かえって「もっと頼ってもらいたい」「成長する機会がない」とご本人のモチベーションを下げてしまうのです。

障害特性に対する理解や「配慮」は必要ですが、「遠慮」する必要はありません。障害者雇用であろうがなかろうが、チームの役に立ちたいと考えている方のほうが多数を占めるでしょう。マネジメントする中で、一般の社員と比べて成長スピードが遅いと感じることはあるかもしれませんが、そこは長い目で見ていただきつつ、基本的なスタンスとしては同じ職場の仲間として貢献と成長を期待し、仕事を任せたり、チャレンジする機会を与えていただけるようお願いします。

参考ページ:発達障害のある部下・同僚 ~採用から日々の接し方まで~

障害者雇用の社内理解を促進するための施策

最後に、障害者雇用の社内理解を促進するうえでおすすめの施策をお伝えします。

障害のある方の受入れに前向きな社内風土をもつ企業では、必ずといっていいほど障害理解を促進するための計画的な取り組みを行っています。ぜひ可能な範囲で取り入れて、障害者雇用に前向きな組織づくりにチャレンジしてみてください。

社内研修を実施する

障害者雇用に対して先進的な取り組みをしている企業の多くでは、障害への正しい理解や接し方などを学ぶ「インクルージョン研修」を人事担当者が企画・実施しています。

具体的な内容としては、社内の先行事例の共有する勉強会や、地域障害者職業センターの職員や障害者雇用の各分野の専門家をゲストに招いて講演してもらうケースなどがあるようです。また、ハローワークが行う精神・発達障害者しごとサポーター養成講座の制度では、ハローワーク職員が企業で「出前講座」を行う取り組みもあるようです。ご関心がある方はぜひお近くのハローワークにお問い合わせください。

参考:経産省推進事業「ニューロダイバーシティ人材活用」 導入支援プラン説明会

支援機関などから職場体験実習を受け入れる

障害者雇用の準備のひとつとしておすすめの取り組みは、雇用を前提としない「職場体験実習」の受入れです。

「職場体験実習」は、企業での就労を目指して障害福祉サービス事業所に通所する方々に、実際の職場で仕事を体験する機会を提供するために実施するものです。実習を受け入れた方を実際に雇用する必要はありませんし、あくまで職場体験の機会提供なので、賃金を支払う必要もありません。

百聞は一見に如かず。「実際に求職している障害者に会い一緒に仕事をしてみたら、これでの障害者雇用に対する偏った思い込みが解消されました」という感想をたくさんお伺いします。

職場体験実習の受入れをご検討する場合は、ハローワークの障害者雇用の相談窓口にご相談ください。おつながりがある場合は「就労移行支援事業所」に直接コンタクトをとってもよいでしょう。東京都の企業様は東京しごと財団が職場体験実習のコーディネートを行っています。

参考:東京しごと財団 職場体験実習受入れ

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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